基本例題30 直線上の運動量の保存(合体と分裂)

設問(1) 台車の衝突・合体

直感的理解
2つの台車が衝突して一体になるとき、外力がなければ運動量は保存されます。Bの方が重くて速いので、合体後はBの進行方向(負の向き)に動きます。

設定:初めのAの速度の向きを正とします。

\(m_A = 1.0\) kg, \(v_A = +0.25\) m/s, \(m_B = 2.0\) kg, \(v_B = -0.35\) m/s

立式:運動量保存則より

$$m_A v_A + m_B v_B = (m_A + m_B) v$$

数値代入:

$$1.0 \times 0.25 + 2.0 \times (-0.35) = (1.0 + 2.0) \times v$$ $$0.25 - 0.70 = 3.0 v$$ $$-0.45 = 3.0 v$$ $$v = \frac{-0.45}{3.0} = -0.15 \text{ m/s}$$
答え:
$v = -0.15$ m/s($v < 0$ であるから、初めのBの速度の向きに、速さ 0.15 m/s で進む
Point

一直線上の衝突(合体):\(m_1 v_1 + m_2 v_2 = (m_1 + m_2)v'\)。正の向きを定め、速度の符号に注意。

設問(2) ばねで連結された台車の分裂

直感的理解
初め静止していた系の全運動量は 0 です。糸を焼き切ってばねが解放されても、ばねの力は内力なので運動量は保存され、分裂後も合計は 0 のまま。つまり \(m_A v_A' + m_B v_B' = 0\) です。

設定:Bを前にして、Bの初速度の向きを正とします。初め静止なので全運動量は 0。

\(m_A = 1.0\) kg, \(m_B = 2.0\) kg。糸を焼き切った後、Aは逆向きに速さ 0.30 m/s で進んだ。

立式:運動量保存則より(初速が 0 なので合計運動量 = 0)

$$0 = m_A v_A' + m_B v'$$

数値代入:Aが逆向き(負)に $0.30$ m/s で進んだので $v_A' = -0.30$ m/s

$$0 = 1.0 \times (-0.30) + 2.0 \times v'$$ $$2.0 v' = 0.30$$ $$v' = \frac{0.30}{2.0} = 0.15 \text{ m/s}$$

$v' > 0$ なので、初めのAの速度と反対方向(Bの押し出された向き)に速さ $0.15$ m/s で進みます。

答え:
分離後のBの速度 \(v' = 0.15\) m/s(Bの初速度の向き)
補足:ばねの弾性力は内力

ばねがA, B間で及ぼす力は内力(作用・反作用)です。内力はどんなに大きくても系全体の運動量を変えません。外力(摩擦、重力の水平成分など)がなければ運動量保存則が成り立ちます。

Point

分裂の運動量保存:初め静止 → 分裂後 \(m_1 v_1' + m_2 v_2' = 0\)。速度の比は質量の逆比 \(|v_1'|:|v_2'| = m_2:m_1\)。