基本問題168 円筒面上をすべり落ちる運動

半球面上からすべり落ちる小球

直感的理解
半球の頂上に置いた小球が滑り始めると、速さが増すにつれて必要な向心力が増加します。しかし重力の向心方向成分 \(mg\cos\theta\) は \(\theta\) が大きくなると減少。やがて垂直抗力 \(N\) がゼロになり、小球は面から離れます。その角度は \(\cos\theta = 2/3\) で決まる有名な結果です。

設定:半径 \(R\) のなめらかな半球面の頂上に質量 \(m\) の小球を置き、わずかな初速で滑らせる。小球が面から離れる位置を求める。頂上からの角度を \(\theta\)、重力加速度を \(g\) とする。

(1) 角度 \(\theta\) での速さ \(v\)

頂上からの高さの降下量は \(R(1 - \cos\theta)\)。エネルギー保存(初速ほぼ0):

$$ \frac{1}{2}mv^2 = mgR(1 - \cos\theta) $$ $$ v^2 = 2gR(1 - \cos\theta) $$

(2) 向心方向の運動方程式

半径方向(中心向きを正):重力の中心向き成分 \(mg\cos\theta\) が向心力を担い、垂直抗力 \(N\) は外向き:

$$ mg\cos\theta - N = \frac{mv^2}{R} $$ $$ N = mg\cos\theta - \frac{mv^2}{R} $$

(3) 面から離れる条件

\(N = 0\) とおき、\(v^2 = 2gR(1 - \cos\theta)\) を代入すると:

$$ mg\cos\theta = \frac{m \cdot 2gR(1 - \cos\theta)}{R} = 2mg(1 - \cos\theta) $$ $$ \cos\theta = 2 - 2\cos\theta \quad \Rightarrow \quad 3\cos\theta = 2 \quad \Rightarrow \quad \cos\theta = \frac{2}{3} $$

頂上からの高さの降下量は \(R(1 - 2/3) = R/3\) です。つまり、頂上から高さ \(R/3\) だけ降りたところで面から離れます。

(4) 離れるときの速さ

\(\cos\theta = 2/3\) を \(v^2\) の式に代入すると:

$$ v^2 = 2gR\left(1 - \frac{2}{3}\right) = \frac{2gR}{3} \quad \Rightarrow \quad v = \sqrt{\frac{2gR}{3}} $$
答え:
(1) \(v = \sqrt{2gR(1 - \cos\theta)}\)

(2) \(N = mg\cos\theta - \dfrac{mv^2}{R}\)

(3) \(\cos\theta = \dfrac{2}{3}\) で面から離れる(頂上から \(\dfrac{R}{3}\) 降下した位置)

(4) 離れるときの速さ \(v = \sqrt{\dfrac{2gR}{3}}\)
補足:初速がある場合

頂上で初速 \(v_0\) がある場合、\(v^2 = v_0^2 + 2gR(1 - \cos\theta)\) となり、離れる角度は:

$$\cos\theta = \frac{2}{3} + \frac{v_0^2}{3gR}$$

初速が大きいほど小さい \(\theta\)(高い位置)で離れます。

Point

半球面を滑り落ちる問題は「\(\cos\theta = 2/3\)」が超頻出。エネルギー保存で \(v^2\) を求め、向心方向の運動方程式で \(N = 0\) とおくのが定石。初速がある場合への拡張も重要。