考察:電車内の人から見ると、おもりは静止しているように見えます。糸が鉛直方向から傾いているので、慣性力が加速度と反対向きにはたらいています。
糸が右に傾いているということは、慣性力は左向き。慣性力は加速度と逆向きなので:
糸が傾く向きが加速度の向き。慣性力はその逆向き。電車内で静止して見える場合、「重力 + 慣性力 + 張力 = 0」のつりあい。
立式:電車内の観測者から見たつりあい(慣性力を含む):
水平方向:
$$ S\sin\theta = ma \quad \cdots (1) $$鉛直方向:
$$ S\cos\theta = mg \quad \cdots (2) $$式(1) \(\div\) 式(2) より:
$$ \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{a}{g} \quad \Rightarrow \quad \tan\theta = \frac{a}{g} $$加速度系でのつりあいでは、水平:鉛直の力の比から \(\tan\theta\) が求まる。\(\tan\theta = \dfrac{a}{g}\) は慣性力の問題の基本形。
立式:つりあいの式 (1), (2) をそれぞれ2乗して足します(\(\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1\) を利用):
$$ S^2\sin^2\theta + S^2\cos^2\theta = (ma)^2 + (mg)^2 $$ $$ S^2 = m^2(a^2 + g^2) $$ $$ \therefore \quad S = m\sqrt{g^2 + a^2} $$重力と慣性力が直交するとき、張力は三平方の定理 \(S = m\sqrt{g^2 + a^2}\) で求まる。
考察:電車内の人から見ると、糸が切れた瞬間からおもりには:
の2力がはたらきます。これらの合力の向きに等加速度直線運動を行うので、電車内の人から見たおもりの軌道は放物線です。
地上に静止している観測者から見ると、糸が切れた瞬間のおもりの速度は電車と同じ速度(水平右向き)です。切れた後は重力のみがはたらくので、水平投射の放物線を描きます。
電車内から見ても地上から見ても放物線ですが、見える向きが異なります。
加速度系で糸が切れると、慣性力が「重力のような」役割を果たし、放物線運動(等加速度運動)が生じる。
上で導いた結果に具体的な数値を代入し、計算の流れを確認します。
電車 \(a = 2.0\) m/s\(^2\), 物体 \(m = 0.50\) kg, \(g = 9.8\) m/s\(^2\) とする:
$$F_{in} = ma = 0.50 \times 2.0 = 1.0 \text{ N}$$ $$\tan\theta = \frac{a}{g} = \frac{2.0}{9.8} \fallingdotseq 0.204$$ $$\theta \fallingdotseq 11.5°$$記号の式に具体的な数値を代入することで、オーダー (桁) と単位を同時に検算できる。入試でも概数での検算は有効。