応用問題190 ゴムひもによる小球の運動

空欄ア $x = L$ での速さ

直感的理解
小球は $x = 0$ から $x = L$ まで自由落下します。ゴムひもは自然長以下では力を及ぼさないので、$x = L$ に到達するまでは重力だけが作用します。エネルギー保存則で速さが求まります。

立式:$x = 0$ から $x = L$ まで自由落下するので、エネルギー保存則より:

$$\frac{1}{2}mv_L^2 = mgL$$ $$v_L^2 = 2gL \quad \therefore \; v_L = \sqrt{2gL}$$

数値例:$g = 9.8$ m/s², $L = 2.0$ m のとき:

$$v_L = \sqrt{2 \times 9.8 \times 2.0} = \sqrt{39.2} \fallingdotseq 6.3 \text{ m/s}$$
答え(空欄ア):
$$v_L = \sqrt{2gL}$$
Point

ゴムひもが自然長のとき($x = L$)までは自由落下。エネルギー保存則 $mgh = \frac{1}{2}mv^2$ で速さを求める。

空欄イ・ウ つりあい位置 $x_1$ と速さ $v_1$

直感的理解
$x > L$ の領域では、ゴムひもの弾性力(上向き)と重力(下向き)がはたらきます。両者がつりあう位置 $x_1$ が単振動の中心です。$x_1$ では速度が最大になるわけではなく、速度が最大になるのは加速度がゼロの位置(つまり合力がゼロのつりあい位置 $x_1$)です。

$x_1$ の導出:$x > L$ で、ゴムひもの張力 $k(x_1 - L)$ が重力 $mg$ と等しくなる条件:

$$k(x_1 - L) = mg \quad \therefore \; x_1 = L + \frac{mg}{k}$$

$v_1$ の導出:$x = 0$($v = 0$)から $x = x_1$ までのエネルギー保存則:

$$mgx_1 = \frac{1}{2}mv_1^2 + \frac{1}{2}k(x_1 - L)^2$$

$x_1 = L + mg/k$ を代入すると $(x_1 - L) = mg/k$ なので:

$$mg\!\left(L + \frac{mg}{k}\right) = \frac{1}{2}mv_1^2 + \frac{1}{2}k\!\left(\frac{mg}{k}\right)^{\!2}$$ $$mgL + \frac{m^2g^2}{k} = \frac{1}{2}mv_1^2 + \frac{m^2g^2}{2k}$$ $$\frac{1}{2}mv_1^2 = mgL + \frac{m^2g^2}{2k} \quad \therefore \; v_1 = \sqrt{2gL + \frac{mg^2}{k}}$$

数値例:$m = 1.0$ kg, $g = 9.8$ m/s², $L = 2.0$ m, $k = 50$ N/m のとき:

$$x_1 = 2.0 + \frac{1.0 \times 9.8}{50} = 2.0 + 0.196 = 2.196 \text{ m}$$ $$v_1 = \sqrt{2 \times 9.8 \times 2.0 + \frac{1.0 \times 9.8^2}{50}} = \sqrt{39.2 + 1.92} = \sqrt{41.1} \fallingdotseq 6.4 \text{ m/s}$$
答え(空欄イ・ウ):
$$x_1 = L + \frac{mg}{k}, \qquad v_1 = \sqrt{2gL + \frac{mg^2}{k}}$$
Point

合力がゼロとなる位置(つりあい位置)が単振動の中心であり、ここで速さが最大になる。エネルギー保存則で速さを求めるとき、弾性エネルギーの基準点に注意する。

空欄エ 最下点 $x_2$

直感的理解
最下点 $x_2$ では速度がゼロになります。$x = 0$(スタート地点)でも速度はゼロだったので、$x = 0$ と $x = x_2$ でエネルギー保存則を立てればよいのです。

立式:$x = 0$($v = 0$)から $x = x_2$($v = 0$)までのエネルギー保存則:

$$mgx_2 = \frac{1}{2}k(x_2 - L)^2$$

展開して整理します。$X = x_2 - L$ とおくと $x_2 = X + L$ なので:

$$mg(X + L) = \frac{1}{2}kX^2$$ $$kX^2 - 2mgX - 2mgL = 0$$

解の公式より($X > 0$ の解を選ぶ):

$$X = \frac{2mg + \sqrt{4m^2g^2 + 8mkgL}}{2k} = \frac{mg}{k} + \sqrt{\left(\frac{mg}{k}\right)^2 + \frac{2mgL}{k}}$$ $$\therefore \; x_2 = L + \frac{mg}{k} + \sqrt{\left(\frac{mg}{k}\right)^2 + \frac{2mgL}{k}}$$

数値例:$m = 1.0$ kg, $g = 9.8$ m/s², $L = 2.0$ m, $k = 50$ N/m のとき:

$$\frac{mg}{k} = \frac{1.0 \times 9.8}{50} = 0.196 \text{ m}$$ $$x_2 = 2.0 + 0.196 + \sqrt{0.196^2 + \frac{2 \times 1.0 \times 9.8 \times 2.0}{50}} = 2.196 + \sqrt{0.0384 + 0.784}$$ $$= 2.196 + \sqrt{0.822} = 2.196 + 0.907 \fallingdotseq 3.10 \text{ m}$$
答え(空欄エ):
$$x_2 = L + \frac{mg}{k} + \sqrt{\left(\frac{mg}{k}\right)^2 + \frac{2mgL}{k}}$$
補足:単振動の対称性を使う別解

$x > L$ の領域では $x_1$ を中心とした単振動です。$x_1$ での速さ $v_1$ と振幅 $A'$ の関係:

$$v_1 = A'\omega, \quad \omega = \sqrt{k/m}$$ $$A' = \frac{v_1}{\omega} = v_1\sqrt{\frac{m}{k}}$$

最下点は $x_2 = x_1 + A'$ です。ただし、この問題ではゴムひもが $x < L$ で力を及ぼさないため、上端は $x_1 - A'$ ではなく $x = L$ より上に行く場合は自由落下に切り替わる点に注意が必要です。

Point

最下点では速度がゼロ。始点と最下点の両方で $v = 0$ なので、両端でのエネルギー保存則から最下点を求められる。2次方程式の $x > L$ の解を選ぶ。

空欄オ $x_1$ を通過してから戻るまでの時間

直感的理解
$x_1$ は単振動の中心です。$x_1$ を下向きに通過してから最下点 $x_2$ を経て再び $x_1$ に戻るまでは、単振動の半周期にあたります(中心→端→中心)。

立式:$x > L$ の領域で $x_1$ を中心とした単振動の角振動数は:

$$\omega = \sqrt{\frac{k}{m}}$$

周期は $T = \dfrac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{k}}$ です。$x_1$ を初めて通過(下向き)してから、最下点 $x_2$ を経て $x_1$ に戻るまでの時間は半周期にあたります:

$$\Delta t = \frac{T}{2} = \pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$

数値例:$m = 1.0$ kg, $k = 50$ N/m のとき:

$$\Delta t = \pi\sqrt{\frac{1.0}{50}} = \pi \times 0.141 \fallingdotseq 0.44 \text{ s}$$
答え(空欄オ):
$$\Delta t = \pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$
Point

ゴムひもの問題では、弾性力がはたらく領域でのみ単振動する。振動の中心を通過してから戻るまでは半周期 $T/2$。ゴムひもが緩む領域では自由落下になり、全体の運動は単振動ではない。