応用問題193 ばね付きの板にのせた物体の運動

設問(1) 加速度 $a$ と垂直抗力 $N$

直感的理解
板とおもりが一体で動いている間、全体は質量 $(M + m)$ のばね振り子です。つりあい位置 O からの変位 $x$ に対して合力は $-(M + m)g/x_0 \cdot x$ となり、加速度は $a = -(g/x_0)x$ です。おもりにはたらく垂直抗力 $N$ は、おもりの運動方程式から求まります。

加速度:つりあい条件より、ばねの自然長からの伸び $x_0$ で板+おもりが静止するので:

$$kx_0 = (M + m)g \quad \therefore \; k = \frac{(M + m)g}{x_0}$$

つりあいの位置からの変位を $x$(上向き正)とすると、一体(質量 $M + m$)の運動方程式は:

$$(M + m)a = -kx = -\frac{(M + m)g}{x_0}\,x$$ $$\therefore \; a = -\frac{g}{x_0}\,x$$

垂直抗力:おもり($m$)の運動方程式(上向き正):

$$ma = N - mg$$

$a = -gx/x_0$ を代入すると:

$$N = m(g + a) = m\!\left(g - \frac{g}{x_0}x\right) = mg\!\left(1 - \frac{x}{x_0}\right)$$
答え:
$$a = -\frac{g}{x_0}x, \qquad N = mg\left(1 - \frac{x}{x_0}\right)$$
Point

板の上のおもりの垂直抗力は $N = m(g + a)$。上向き加速度 $a$ が大きいほど $N$ は小さくなり、$a = g$(上向き)で $N = 0$ となる。

設問(2) おもりが離れる位置 $x_1$ と速さ $v_1$

直感的理解
おもりが板から離れるのは $N = 0$ のときです。$N = mg(1 - x/x_0)$ がゼロになるのは $x = x_0$。このとき板は上向きに加速度 $g$ で動いていて、おもりは板がなくても重力加速度 $g$ で減速するだけなので、ちょうど離れるのです。

離れる位置:$N = 0$ のとき $mg(1 - x/x_0) = 0$ より:

$$1 - \frac{x_1}{x_0} = 0 \quad \therefore \; x_1 = x_0$$

速さ $v_1$:振幅 $A = 2x_0$(自然長の位置から $2x_0$ 引いて離すため)、$\omega^2 = g/x_0$ より、位置 $x = x_0$ でのエネルギー保存則を使います。端($x = 2x_0$, $v = 0$)から $x = x_0$ まで:

$$\frac{1}{2}(M+m)v_1^2 = \frac{1}{2}(M+m)\omega^2(A^2 - x_1^2)$$ $$v_1^2 = \omega^2(A^2 - x_1^2) = \frac{g}{x_0}\!\left((2x_0)^2 - x_0^2\right) = \frac{g}{x_0} \times 3x_0^2 = 3gx_0$$ $$\therefore \; v_1 = \sqrt{3gx_0}$$
答え:
$$x_1 = x_0, \qquad v_1 = \sqrt{3gx_0}$$
Point

物体が板から離れる条件は $N = 0$。離れる位置と速さはそれぞれ $N = 0$ の条件とエネルギー保存則で求まる。

設問(3) おもりが板から離れるまでの時間 $t_1$

直感的理解
等速円運動との対応を使います。$t = 0$ で $x = -2x_0$(最下点)からスタートし、$x = x_0$ に達するまでの角度(位相)を求めればよいのです。$x = -2x_0\cos\omega t$ なので $\cos\omega t_1 = -1/2$、つまり $\omega t_1 = 2\pi/3$ です。

立式:$x = -2x_0\cos\omega t$ で $x = x_0$ となる時刻を求めます。

$$x_0 = -2x_0\cos\omega t_1$$ $$\cos\omega t_1 = -\frac{1}{2}$$ $$\omega t_1 = \frac{2\pi}{3}$$

$\omega = \sqrt{g/x_0}$ を代入すると:

$$t_1 = \frac{2\pi}{3\omega} = \frac{2\pi}{3}\sqrt{\frac{x_0}{g}}$$
答え:
$$t_1 = \frac{2\pi}{3}\sqrt{\frac{x_0}{g}}$$
補足:向心加速度の導出

等速円運動の加速度は常に中心を向き、大きさは $a = \frac{v^2}{r} = r\omega^2$ です。速度の大きさは変わりませんが、方向が変わり続けるため加速度が存在します。

Point

単振動の途中の時間は、$x = A\sin(\omega t + \phi)$ や $x = A\cos(\omega t)$ を立てて、$\sin$ や $\cos$ の値から対応する角度を求める。等速円運動の回転角と対応させて考えるとわかりやすい。