応用問題208 だ円軌道上の運動

設問(1) 円軌道の速さ \(v_0\)

直感的理解
円軌道で一定速度で回っていた衛星を、ある地点Aで加速すると軌道がだ円に変わります。Aは近地点(地球に最も近い点)になり、反対側のBが遠地点になります。だ円軌道ではケプラーの第二法則により面積速度が一定なので、近地点で速く、遠地点で遅くなります。

設定:円軌道の半径 \(r = R + R = 2R\)。万有引力 = 向心力より:

\(GM = gR^2\) を使うと:

答え:
$$v_0 = \frac{1}{2}\sqrt{2gR}$$
Point

軌道半径 \(r\) の円軌道での速さは \(v = \sqrt{GM/r}\)。\(GM = gR^2\) の置き換えを確実にマスターすること。

設問(2) 円軌道の周期 \(T_0\)

直感的理解
周期は円周の長さを速さで割るだけです。あるいは \(T = 2\pi\sqrt{r^3/(GM)}\) の公式に \(r = 2R\) を代入しても同じ結果が得られます。
答え:
$$T_0 = 4\pi\sqrt{\frac{2R}{g}}$$
Point

周期の求め方: \(T = 2\pi r / v\) または \(T = 2\pi\sqrt{r^3/(GM)}\)。どちらでも同じ結果になることを確認すること。

設問(3)(4)(5) だ円軌道の速度 \(v_1, v_2\)

直感的理解
だ円軌道の近地点と遠地点では速度が軌道に接する方向(= 地球への向きに垂直)を向きます。この2点でケプラーの第二法則(面積速度一定)と力学的エネルギー保存則を連立すれば、\(v_1\) と \(v_2\) が求まります。

設問(3) エネルギー保存則:点A(OA = 2R, 速さ \(v_1\))と点B(OB = 6R, 速さ \(v_2\))で:

設問(4) \(v_2\) を \(v_1\) で表す:面積速度一定(ケプラーの第二法則)より:

設問(5) \(v_1\) と \(v_2\) を求める:エネルギー保存則に \(v_2 = v_1/3\) を代入:

答え:
$$v_1 = \frac{\sqrt{3gR}}{2}, \qquad v_2 = \frac{\sqrt{3gR}}{6}$$
Point

だ円軌道の問題は面積速度一定力学的エネルギー保存の連立で解く。近地点と遠地点では速度が軌道接線方向なので計算しやすい。

設問(6) だ円軌道の周期 \(T\)

直感的理解
ケプラーの第三法則は円軌道にもだ円軌道にも成り立ちます。だ円の場合は円の半径の代わりに半長軸 \(a\) を使います。円軌道の半径 \(2R\) とだ円の半長軸 \(4R\) の比から周期の比が直接求まります。

だ円の半長軸:

ケプラーの第三法則:円軌道(半径 \(2R\)、周期 \(T_0\))とだ円軌道(半長軸 \(4R\)、周期 \(T\))で:

答え:
$$T = 2\sqrt{2}\,T_0 = 16\pi\sqrt{\frac{R}{g}}$$
補足:向心加速度の導出

等速円運動の加速度は常に中心を向き、大きさは $a = \frac{v^2}{r} = r\omega^2$ です。速度の大きさは変わりませんが、方向が変わり続けるため加速度が存在します。

Point

ケプラーの第三法則 \(T^2/a^3 = \text{一定}\) は、だ円軌道では \(a\) = 半長軸を使う。半長軸は近地点距離と遠地点距離の平均。

数値例で確認

上で導いた結果に具体的な数値を代入し、計算の流れを確認します。

近地点 \(r_1 = 7.0\times 10^6\) m, 遠地点 \(r_2 = 1.4\times 10^7\) m とする。面積速度一定 (ケプラー第2):

$$v_1 r_1 = v_2 r_2 \;\Rightarrow\; \frac{v_1}{v_2} = \frac{r_2}{r_1} = 2.0$$

半長軸 \(a = (r_1+r_2)/2 = 1.05\times 10^7\) m:

$$\frac{v_1^2}{2} - \frac{GM}{r_1} = -\frac{GM}{2a}$$ $$v_1 \fallingdotseq 9.2\times 10^3 \text{ m/s}$$
Point

記号の式に具体的な数値を代入することで、オーダー (桁) と単位を同時に検算できる。入試でも概数での検算は有効。