基本問題201 ケプラーの法則と万有引力の法則

月の公転から地球の質量を求める

直感的理解
月が地球のまわりを等速円運動しているとき、万有引力が向心力になります。この条件から地球の質量 \(M\) を月の公転半径 \(r\) と周期 \(T\) で表せます。月の質量 \(m\) は消えるため、月の質量を知らなくても地球の質量が求まるのがポイントです。

条件:月の公転を等速円運動とみなす。公転半径 \(r\)、周期 \(T\)、万有引力定数 \(G\)、地球の質量 \(M\)。

(1) 万有引力 = 向心力:

月の質量を \(m\) として、万有引力が向心力を提供する条件を立てます:

$$G\frac{Mm}{r^2} = m \cdot r \cdot \left(\frac{2\pi}{T}\right)^2 = \frac{4\pi^2 mr}{T^2}$$

両辺の \(m\) を消去して \(M\) について解くと:

$$\frac{GM}{r^2} = \frac{4\pi^2 r}{T^2} \quad \therefore \; M = \frac{4\pi^2 r^3}{GT^2}$$

(2) 自転周期 \(T_0\) で地球が1回自転する間に月が公転する角度:

月の角速度は \(\omega = \dfrac{2\pi}{T}\) なので、時間 \(T_0\) の間に進む角度は:

$$\Delta\theta = \omega \cdot T_0 = \frac{2\pi}{T} \times T_0 = \frac{2\pi T_0}{T}$$
答え:
(1) \(\displaystyle M = \frac{4\pi^2 r^3}{GT^2}\)

(2) 月が \(T_0\) の間に公転する角度 \(\displaystyle \Delta\theta = \frac{2\pi T_0}{T}\)
補足:向心加速度の導出

等速円運動の加速度は常に中心を向き、大きさは $a = \frac{v^2}{r} = r\omega^2$ です。速度の大きさは変わりませんが、方向が変わり続けるため加速度が存在します。

Point

万有引力 = 向心力:円軌道の場合、\(G\dfrac{Mm}{r^2} = m\dfrac{v^2}{r} = m\dfrac{4\pi^2}{T^2}r\) から中心天体の質量が求まる。衛星の質量は消去されるため不要。

数値例で確認

上で導いた結果に具体的な数値を代入し、計算の流れを確認します。

地球公転半径 \(r_E = 1.5\times 10^{11}\) m, 周期 \(T_E = 1.0\) 年。火星 \(r_M = 2.28\times 10^{11}\) m の周期:

$$\frac{T_M^2}{T_E^2} = \left(\frac{r_M}{r_E}\right)^3 = 1.52^3 \fallingdotseq 3.51$$ $$T_M = \sqrt{3.51} \fallingdotseq 1.87 \text{ 年}$$ $$GM_\odot = \frac{4\pi^2 r_E^3}{T_E^2} \fallingdotseq 1.33\times 10^{20} \text{ m}^3/\text{s}^2$$

地球の公転速度 (\(T_E = 3.15\times 10^7\) s):

$$v_E = \frac{2\pi r_E}{T_E} = \frac{2\pi \times 1.5\times 10^{11}}{3.15\times 10^7} \fallingdotseq 2.99\times 10^4 \text{ m/s}$$
Point

記号の式に具体的な数値を代入することで、オーダー (桁) と単位を同時に検算できる。入試でも概数での検算は有効。