応用問題228 熱量の保存

設問(1) 水と鉄製容器全体の熱容量

直感的理解
熱容量とは「その物体の温度を1K上げるのに必要な熱量」です。水と鉄製容器がセットで温度変化するため、全体の熱容量は個々の熱容量の和になります。

立式:全体の熱容量は、水の熱容量と鉄製容器の熱容量の和です。

答え:
$$C = m_1 c_1 + m_2 c_2$$
Point

熱容量は加法的:複数の物体がまとめて温度変化するとき、全体の熱容量は個々の熱容量の和。

設問(2) 電気ヒーターで加熱した熱量

直感的理解
電気ヒーターが与えた熱量は、水と容器の温度上昇に使われます。全体の熱容量が分かっていれば、温度差を掛けるだけで熱量が求まります。

立式:温度が \(T_1\) から \(T_2\) まで上昇したので:

答え:
$$Q = (m_1 c_1 + m_2 c_2)(T_2 - T_1)$$
Point

与えた熱量 \(Q = C\Delta T\)。\(C\) は設問(1)で求めた全体の熱容量。

設問(3) ステンレス球の比熱

直感的理解
温度 \(T_3\)(\(T_3 > T_2\))のステンレス球を水に入れると、球が冷えて水+容器が温まります。球が失った熱量と水+容器が得た熱量が等しいことから、未知の比熱 \(c_3\) が求まります。

立式:ステンレス球(質量 \(m_3\)、比熱 \(c_3\)、温度 \(T_3\))を投入し、全体が \(T_4\) になった。

球が失った熱量 = 水+容器が得た熱量

$$m_3 c_3 (T_3 - T_4) = (m_1 c_1 + m_2 c_2)(T_4 - T_2)$$

$c_3$ について解く:

$$c_3 = \frac{(m_1 c_1 + m_2 c_2)(T_4 - T_2)}{m_3(T_3 - T_4)}$$
答え:
$$c_3 = \frac{(m_1 c_1 + m_2 c_2)(T_4 - T_2)}{m_3(T_3 - T_4)}$$
補足:3つの未知数を求める手順

この問題は(1)で全体の熱容量を式で表し、(2)で加えた熱量を温度変化から求め、(3)で熱量の保存から未知の比熱を求める3段構成です。前の設問の結果を次の設問で使う「積み上げ型」の問題構成に注意しましょう。

Point

熱量の保存はどの物体の視点でも成り立つ。高温物体が失った熱量 = 低温物体が得た熱量、で未知量を求める。

🧮 数値計算で確認

\(n = 2.0\) mol の単原子理想気体、温度 \(T = 300\) K:

$$PV = nRT = 2.0 \times 8.31 \times 300 \fallingdotseq 5.0 \times 10^3 \text{ J}$$ $$U = \frac{3}{2}nRT = \frac{3}{2} \times 5.0 \times 10^3 = 7.5 \times 10^3 \text{ J}$$ $$\text{温度が 100 K 上がると } \Delta U = \frac{3}{2} \times 2.0 \times 8.31 \times 100 \fallingdotseq 2.5 \times 10^3 \text{ J}$$