応用問題242 ボイル・シャルルの法則

設問(1) 鉛直に立てたときの気体の圧力 p

直感的理解
シリンダーを鉛直に立てると、ピストンの重力がガスを圧縮する方向に働くため、気体の圧力は大気圧にピストンの重さ分が加わります。水平にすると重力は圧力に影響しません。3つの向きをクリックして比較してみましょう。

図1(鉛直・ガスが下)のピストンの力のつりあい:

答え:
$$p = p_0 + \frac{Mg}{S}$$
Point

ピストンの向きにより圧力が変わる:鉛直上向き→ \(p_0 + Mg/S\)、水平→ \(p_0\)、鉛直下向き→ \(p_0 - Mg/S\)。

設問(2) 水平に倒したときのピストンの位置 l

直感的理解
温度一定で圧力が下がると、ボイルの法則 \(pV = \text{一定}\) より体積が増えます。水平に倒すとピストンの重さが圧力に効かなくなるので、圧力が下がりガスが膨張します。

立式:温度を保ちながらシリンダーを水平にする(ボイルの法則 $p_1 V_1 = p_2 V_2$):

鉛直時:圧力 $p = p_0 + Mg/S$、体積 $V = SH$

水平時:圧力 $p' = p_0$、体積 $V' = Sl$

$$(p_0 + Mg/S) \cdot SH = p_0 \cdot Sl$$ $$(p_0 S + Mg) H = p_0 S \cdot l$$

$l$ について解く:

$$l = \frac{(p_0 S + Mg) H}{p_0 S}$$
答え:
$$l = \frac{(p_0 S + Mg)H}{p_0 S}$$
Point

温度一定ならボイルの法則 \(p_1 V_1 = p_2 V_2\)。向きが変わると圧力が変わるので体積も変わる。

設問(3) 加熱して元の位置に戻す温度 T

直感的理解
図1の鉛直状態で気体を加熱すると、圧力は一定のまま体積が増えてピストンが上昇します。ピストンの高さがhだったものをHに戻すので、体積の増加分に対応する温度を求めます。

立式:鉛直状態で圧力一定(\(p = p_0 + Mg/S\))のまま加熱。ボイル・シャルルの法則を図1の初期状態と最終状態で適用:

圧力 \(p\) が同じなので消えて:

しかし、設問の意味を確認すると、図1で気体を加熱してピストンがhだけ上がるとすると、ボイル・シャルルの法則より:

ここではピストンが底からHの位置にあったのをhの位置まで...問題文を読むと「図1で気体を加熱したらピストンがhだけ上がった」ということなので、気体の絶対温度 \(T\) を求めます。

いいえ、これはhがlのことか確認が必要です。問題を正確に読むと、ピストンの底からの高さがHだったのをhに変えるとき(h > H)の温度です。

答え:
気体の絶対温度を \(T\) とすると、シャルルの法則より: $$T = \frac{h \cdot T_0}{H}$$ ただし、水平→鉛直の変化を含む場合はボイル・シャルルの法則で圧力変化も考慮する。
補足:シリンダーの向きと条件の整理

シリンダーの向きが変わる問題では、(1) 圧力がどう変わるか、(2) 温度は一定か、(3) 物質量は一定か、を整理してからボイル・シャルルの法則を適用しましょう。

Point

ピストンの向きと温度の両方が変わる場合は、ボイル・シャルルの法則 \(\dfrac{p_1 V_1}{T_1} = \dfrac{p_2 V_2}{T_2}\) を使う。

🧮 数値計算で確認

\(T_1 = 300\) K、\(P_1 = 1.0 \times 10^5\) Pa、\(V_1 = 5.0 \times 10^{-3}\) m³ の気体を等圧で \(T_2 = 600\) K に加熱:

$$V_2 = V_1 \times \frac{T_2}{T_1} = 5.0 \times 10^{-3} \times \frac{600}{300} = 1.0 \times 10^{-2} \text{ m}^3$$ $$W = P\Delta V = 1.0 \times 10^5 \times 5.0 \times 10^{-3} = 500 \text{ J}$$