基本問題254 断熱変化

断熱変化における気体の状態変化

直感的理解
断熱変化では外部と熱のやり取りがないため \(Q = 0\)。膨張する場合、仕事の分だけ内部エネルギーが減少し温度が下がります。逆に圧縮すると温度が上がります。p-V 図上では等温変化より急な曲線になります。

設定:単原子分子理想気体 \(n\) mol。断熱膨張で体積を \(V_1\) から \(V_2\) に変化させる。外部からの仕事 \(W'\) が与えられている。

熱力学第一法則:

断熱変化では $Q = 0$ なので

$$\Delta U = Q - W = 0 - W = -W$$

気体が外部にした仕事 $W > 0$(膨張)のとき、$\Delta U < 0$ となり温度は下がる

温度変化の計算:

単原子分子理想気体の場合 $\Delta U = \dfrac{3}{2}nR\Delta T$ なので:

$$\frac{3}{2}nR\Delta T = -W \quad \Rightarrow \quad \Delta T = -\frac{2W}{3nR}$$

膨張($W > 0$)なら $\Delta T < 0$ で温度が下がり、圧縮($W < 0$)なら $\Delta T > 0$ で温度が上がります。

答え:

断熱膨張: \(Q = 0\)、\(\Delta U = -W < 0\)(温度低下)

断熱圧縮: \(Q = 0\)、\(\Delta U = -W > 0\)(温度上昇)

\(\Delta T = -\dfrac{2W}{3nR}\)

補足:ポアソンの関係式

断熱変化では以下の関係(ポアソンの式)が成り立ちます:

$$pV^\gamma = \text{一定}, \quad TV^{\gamma-1} = \text{一定}$$

ここで \(\gamma = \dfrac{C_p}{C_V}\) は比熱比で、単原子分子では \(\gamma = \dfrac{5}{3}\)。

p-V図上で断熱曲線が等温曲線(\(pV = \text{一定}\))より急勾配になるのは \(\gamma > 1\) のためです。

Point

断熱変化: \(Q = 0\) → \(\Delta U = -W\)。膨張 → 温度低下、圧縮 → 温度上昇。p-V 図上で断熱曲線は等温曲線より急な傾きになります。\(pV^\gamma = \text{一定}\) がポアソンの式です。