基本例題44 気体分子の運動

設問(1) 気体分子の質量

直感的理解
1 mol(\(N_\mathrm{A}\) 個)の分子の質量が分子量 \(M_0\) [g] = \(M_0 \times 10^{-3}\) [kg] なので、1個あたりの質量はこれを \(N_\mathrm{A}\) で割ればよい。

立式:1 mol(\(N_\mathrm{A}\) 個)の気体分子の質量は \(M_0 \times 10^{-3}\) kg です。

答え:
$$m = \frac{M_0 \times 10^{-3}}{N_\mathrm{A}} \text{ [kg]}$$
Point

分子量 \(M_0\) は 1 mol あたりのグラム質量。SI単位(kg)に変換するには \(10^{-3}\) を掛ける。1分子の質量 \(m = \dfrac{M_0 \times 10^{-3}}{N_\mathrm{A}}\)。

設問(2) 二乗平均速度

直感的理解
圧力の式 \(p = \dfrac{Nm\overline{v^2}}{3V}\) と状態方程式 \(pV = nRT\) を「合体」させると、分子の速さと温度が直接つながる。分子量が大きいほど同じ温度でも速度は遅い。

立式:\(pV = nRT\) と \(pV = \dfrac{Nm\overline{v^2}}{3}\) を比較します。物質量 \(n = \dfrac{N}{N_\mathrm{A}}\) を用いて:

両辺を \(N\) で割り、\(m = \dfrac{M_0 \times 10^{-3}}{N_\mathrm{A}}\) を代入すると:

答え:
$$\sqrt{\overline{v^2}} = \sqrt{\frac{3RT}{M_0 \times 10^{-3}}}$$
Point

二乗平均速度 $$ \sqrt{\overline{v^2}} = \sqrt{\dfrac{3RT}{M}} $$ (\(M\) は kg 単位のモル質量)。温度 \(T\) の平方根に比例し、モル質量 \(M\) の平方根に反比例する。

設問(3) 水素と酸素の二乗平均速度の比

直感的理解
同じ温度の気体では、軽い分子ほど速く動く。これは「温度が同じ = 平均運動エネルギーが同じ」ということから導かれる。水素は酸素の16分の1の質量なので、速度は4倍になる。

立式:同温なので \(T\) が等しい。(2)の結果より:

水素 \(M_0 = 2\)、酸素 \(M_0 = 32\) より:

答え:
水素分子の二乗平均速度は酸素分子の 4倍
補足:エネルギー保存と散逸

摩擦がある場合は力学的エネルギーの一部が熱エネルギーに変わりますが、全エネルギー(力学的+熱)は保存されます。

Point

同温の気体では \(\dfrac{1}{2}m\overline{v^2} = \dfrac{3}{2}k_\mathrm{B}T\) が成り立ち、平均運動エネルギーは分子の種類によらず等しい。したがって二乗平均速度の比は \(\sqrt{\overline{v^2}} \propto 1/\sqrt{M_0}\)。