基本問題272 縦波

縦波の横波表示と密・疎

直感的理解
縦波の横波表示で「密」「疎」を見つけるには、変位のグラフの傾きを見ます。媒質が集まる「密」は傾きが負の零点、媒質が離れる「疎」は傾きが正の零点です。これは「右隣が左に、左隣が右に変位している=集まっている」という直感と一致します。

問題の設定:x軸を正の向きに縦波が伝わっている。図はある時刻における媒質の変位を横波のように表したもの。横波表示の波長は $\lambda = 4$ 目盛り分(シミュレーションでは 0〜4 の範囲が1波長)。

(1) 密の位置を求める:

縦波の変位を $y(x, t)$ とすると、密度変化は変位の空間微分に比例します:

$$\text{密度変化} \propto -\frac{\partial y}{\partial x}$$

横波表示で変位 $y$ の傾き $\dfrac{\partial y}{\partial x} < 0$(右下がり)の零点が「密」です。

グラフで $y=0$ かつ右下がりの点を読み取ります。

(2) 疎の位置を求める:

$\dfrac{\partial y}{\partial x} > 0$(右上がり)の零点が「疎」です。密と疎は $\lambda/2$ 間隔で交互に並びます:

$$\text{密と疎の間隔} = \frac{\lambda}{2}$$

(3) 媒質の速度が最大の点:

媒質の速度は $v_y = \dfrac{\partial y}{\partial t}$ です。正弦波 $y = A\sin(kx - \omega t)$ を時間微分すると:

$$v_y = -A\omega\cos(kx - \omega t)$$

$|v_y|$ が最大になるのは $|\cos(kx - \omega t)| = 1$、すなわち $y = 0$ の位置です:

$$|v_y|_{\max} = A\omega = A \cdot \frac{2\pi}{T}$$

(4) 媒質の速度が左向きに最大の点:

波が正の向きに進むとき、横波表示で山の頂上にある媒質は次の瞬間に変位が減少します。縦波の変位が減少 = 左向きに動くことに対応します。

横波表示の山の頂上では $v_y = -A\omega\cos(kx - \omega t)$ で、$\sin(kx - \omega t) = 1$ のとき $\cos = 0$ で速度は 0... ではなく、波の位相を考慮すると「ちょいずらし法」で判断します。波形を右にずらしたとき変位が最も大きく負方向に変化する位置が山の頂上です。

答え:
(1) 密:横波表示で $y=0$ かつ右下がりの位置
(2) 疎:横波表示で $y=0$ かつ右上がりの位置
(3) 媒質の速度が最大:変位 $y=0$ の位置($|v_y|_{\max} = A\omega$)
(4) 速度が左向きに最大:横波表示で山の頂上の位置
補足:密・疎の判定法まとめ

横波表示のグラフから密・疎を判定する手順:

  1. $y = 0$ の位置を探す
  2. その位置でグラフが右下がり($\partial y/\partial x < 0$)→
  3. その位置でグラフが右上がり($\partial y/\partial x > 0$)→

覚え方:「右下密(みぎしたみつ)」

Point

縦波の横波表示では、$y=0$ で右下がり→密、$y=0$ で右上がり→疎。媒質の速度方向は波の進行方向を考慮して、横波表示の速度方向を90°回転して求める。

🧮 数値計算で確認

波長 4.0 m、振幅 0.10 m、波の速さ 2.0 m/s の縦波を考えます。周期は 4.0 ÷ 2.0 = 2.0 s です。

角波数と角振動数:

$$k = \frac{2\pi}{\lambda} = \frac{2\pi}{4.0} = \frac{\pi}{2} \text{ rad/m} \fallingdotseq 1.57 \text{ rad/m}$$ $$\omega = \frac{2\pi}{T} = \frac{2\pi \times 2.0}{4.0} = \pi \text{ rad/s} \fallingdotseq 3.14 \text{ rad/s}$$

媒質の最大速度:

$$|v_y|_{\max} = A\omega = 0.10 \times 3.14 = 0.314 \text{ m/s}$$

密と疎の間隔:

$$\frac{\lambda}{2} = \frac{4.0}{2} = 2.0 \text{ m}$$