基本問題297 音の屈折

音の反射と壁までの距離

直感的理解
がけに向かって走りながら叫ぶと、音は光速に比べて遅いのでこだまが返ってくるまでに時間がかかります。走っている間に自分も壁に近づくので、反射音が返ってくるときの距離は出発時より短くなります。壁の距離を求めるには、音が出発した瞬間の位置から壁までの距離で考えます。

問題設定:がけの前方に向かって速さ 10 m/s で走っている人が叫んだところ、4.0 秒後にこだまが聞こえた。音速 340 m/s。

(1) 叫んだ瞬間のがけまでの距離(静止している場合):

人が静止しているとき、音は壁まで距離 \(d\) を往復します。往復にかかる時間が 4.0 s なので:

$$2d = V \times t = 340 \times 4.0 = 1360 \text{ m}$$ $$d = \frac{1360}{2} = 680 \text{ m}$$

(2) 速さ 10 m/s で壁に向かって走る場合:

叫んだ瞬間の位置から壁までの距離を \(d\) とします。音が壁に到達する時間を \(t_1\)、反射音が戻ってくる時間を \(t_2\) とすると:

$$t_1 + t_2 = 4.0 \text{ s} \quad \cdots\text{①}$$

行き(音が壁に届くまで):音は速さ \(V = 340\) m/s で距離 \(d\) を進みます:

$$V t_1 = d \quad \Rightarrow \quad t_1 = \frac{d}{340} \quad \cdots\text{②}$$

帰り(反射音が人に届くまで):時刻 \(t_1\) で人は壁から \(d - 10t_1\) の位置にいます。反射音(速さ \(V\))と人(速さ \(v = 10\) m/s)が近づくので:

$$(V + v)\,t_2 = d - v\,t_1 \quad \Rightarrow \quad 350\,t_2 = d - 10\,t_1 \quad \cdots\text{③}$$

②を③に代入:

$$350\,t_2 = d - 10 \cdot \frac{d}{340} = d\!\left(1 - \frac{10}{340}\right) = d \cdot \frac{330}{340}$$

①より \(t_2 = 4.0 - t_1 = 4.0 - d/340\) を代入:

$$350\!\left(4.0 - \frac{d}{340}\right) = \frac{330}{340}\,d$$ $$1400 - \frac{350d}{340} = \frac{330d}{340}$$ $$1400 = \frac{350d + 330d}{340} = \frac{680d}{340} = 2d$$ $$d = 700 \text{ m}$$
答え:
(1) 静止時:$d = 680$ m
(2) 走行時(10 m/s):$d = 700$ m
別解:簡略化した解法

音と人が出会う問題として考えます。音は壁まで往復、人は壁に向かって走る。4.0 s 間に:

  • 音が進む総距離:$340 \times 4.0 = 1360$ m(往復分)
  • 人が進む距離:$10 \times 4.0 = 40$ m

音の往復距離は $2d$(初期距離の往復)ですが、人が近づく分を補正:

$$2d = 340 \times 4.0 + 10 \times 4.0 = 1400 \text{ m}$$

ここで正確には、行きは音と人が同方向に進むため:$2d = (V - v)t_1 \cdot 2$... ではなく、上記の連立方程式が正確です。$d = 700$ m。

Point

移動しながらの反射音:観測者が壁に向かって速さ $v$ で走るとき、音を出してからこだまが聞こえるまでの時間 $t$ と壁までの初期距離 $d$ の関係は $d = \dfrac{(V+v)t}{2}$(簡易式)。正確には行きと帰りで相対速度が異なるため連立方程式を解く。