応用問題325 斜め方向のドップラー効果

設問(1) A点とB点を通過するとき

直感的理解
飛行機がOの真上(B点)を通過するとき、飛行方向とO方向は直交します($\theta = 90°$)。このとき視線方向の速度成分は $v_\text{S}\cos 90° = 0$ なので、ドップラー効果は起きず、元の振動数がそのまま聞こえます。A点では飛行機が近づいているので高い音が、B点を過ぎると離れていくので低い音が聞こえます。

A点通過時($\theta = 60°$):飛行方向と視線方向のなす角が $60°$。視線方向の速度成分 $= v_\text{S}\cos 60° = 20 \times 0.5 = 10$ m/s(近づく)。

A点では元の振動数より高い音が聞こえる。

B点通過時($\theta = 90°$):視線方向の速度成分 $= v_\text{S}\cos 90° = 0$。

B点(真上)では元の振動数と同じ音が聞こえる。

答え:
A点通過時は $612$ Hz の高い音、B点通過時は $594$ Hz の元の振動数と同じ音。
Point

斜め方向のドップラー効果:$f' = \dfrac{V}{V - v_\text{S}\cos\theta} f$。真上($\theta = 90°$)を通過する瞬間はドップラー効果なし。

設問(2) B点通過後の振動数変化

直感的理解
B点を過ぎると飛行機は遠ざかっていきます。$\theta$ は $90°$ から増加し、$\cos\theta$ は $0$ から負になります。つまり $V - v_\text{S}\cos\theta$ の分母が大きくなり、振動数は下がっていきます。十分遠くまで行くと一定値に近づきます。

B点通過後、$\theta > 90°$。$\cos\theta < 0$ となるため:

$$f' = \frac{V}{V - v_\text{S}\cos\theta} f = \frac{V}{V + v_\text{S}|\cos\theta|} f < f$$

飛行機が遠ざかるにつれて $\theta \to 180°$(視線方向と飛行方向が反対)に近づき、振動数は単調に減少します。

途中で $\theta$ が $90°$ を超えた瞬間に振動数は $594$ Hz を下回り、その後低くなりその後低くなる(選択肢③)。

答え:③ 高くなりその後低くなる
Point

遠方から近づく飛行機は最初高い音 → 真上で元の音 → 遠ざかって低い音。振動数は連続的に変化する。

設問(3) 最小の振動数

直感的理解
飛行機が十分遠くに行くと $\theta \to 180°$(飛行方向と視線方向が正反対)に近づきます。このとき $\cos\theta \to -1$ で振動数は最小になります。

$\theta \to 180°$ のとき:

$$f'_{\min} = \frac{V}{V - v_\text{S}\cos 180°} f = \frac{V}{V + v_\text{S}} f = \frac{340}{340 + 20} \times 594 = \frac{340}{360} \times 594$$ $$f'_{\min} = \frac{340}{360} \times 594 = 561 \text{ Hz}$$
答え:
$$f'_{\min} = 561 \text{ Hz}$$
補足:最大の振動数

$\theta \to 0°$ のとき(飛行機が正面から近づく):

$$f'_{\max} = \frac{V}{V - v_\text{S}} f = \frac{340}{340 - 20} \times 594 = \frac{340}{320} \times 594 = 631 \text{ Hz}$$

最大 $631$ Hz から最小 $561$ Hz まで、$594$ Hz を中心に上下に変化します。

Point

斜めドップラー効果の極値:$f'_{\max} = \dfrac{V}{V - v_\text{S}} f$(正面)、$f'_{\min} = \dfrac{V}{V + v_\text{S}} f$(背面)。