基本問題317 水面波のドップラー効果

水面波のドップラー効果

直感的理解
水面波のドップラー効果は音のドップラー効果とまったく同じ原理です。波源が動くと、進行方向の前方では波が圧縮されて波長が短く、後方では波長が長くなります。池に石を投げ入れながら手を動かしている様子を想像するとわかりやすいでしょう。

水面上の点 P が振動数 $f$ [Hz] で上下に振動し、水面波を発生させます。水面波の速さは一定で $u$ [m/s]、点 P は速さ $v$ [m/s] で右に移動しています。

(1)水面波の速さ:

水面波の速さは波源の運動に依存せず、媒質(水面)で決まる一定値です。

$$\text{水面波の速さ} = u \text{ [m/s]}$$

(2)P の後方の波長:

1周期 $T = 1/f$ の間に、波源は $v/f$ だけ前方へ進みます。波は全方向に $u/f$ だけ広がるので、後方の波長は:

$$\lambda_{\text{後}} = \frac{u}{f} + \frac{v}{f} = \frac{u + v}{f}$$

(3)P の前方にいる静止した観測者が受け取る振動数:

前方の波長は波源が追いかける分だけ短くなります:

$$\lambda_{\text{前}} = \frac{u}{f} - \frac{v}{f} = \frac{u - v}{f}$$

静止した観測者には波が速さ $u$ で届くので:

$$f' = \frac{u}{\lambda_{\text{前}}} = \frac{u}{\dfrac{u - v}{f}} = \frac{u\,f}{u - v}$$
答え:
(1)水面波の速さ:$u$ [m/s]
(2)後方の波長:$\lambda_{\text{後}} = \dfrac{u + v}{f}$ [m]
(3)前方の観測者の振動数:$f' = \dfrac{u\,f}{u - v}$ [Hz]
補足:波源の速さが波速を超えたら?

$v > u$ のとき、前方に波が届かなくなり衝撃波(マッハコーン)が発生します。これは超音速飛行で生じるソニックブームと同じ原理です。水面波でも船が水面波の速度を超えると V 字形の波が観察できます。

Point

ドップラー効果は音波に限らない:水面波・光波など、あらゆる波動現象で起こる。公式の構造は同じで、$V$(波速)の部分に各波の伝搬速度を入れればよい。

🧮 具体的な数値例

たとえば振動数 \(f = 500\) Hz、波長 \(\lambda = 0.68\) m の音波の場合:

$$v = f\lambda = 500 \times 0.68 = 340 \text{ m/s}$$ $$T = \frac{1}{f} = \frac{1}{500} = 2.0 \times 10^{-3} \text{ s}$$