基本問題319 音源と観測者が動く場合のドップラー効果

パトカーと観測者が同じ向きに動く場合

直感的理解
音源と観測者が同じ方向に動くとき、音源が近づく効果(振動数が上がる)と観測者が逃げる効果(振動数が下がる)が競合します。音源のほうが速いので、全体としては振動数が上がります。両方の効果を統一的に扱うのがドップラー効果の一般公式です。

パトカー(音源)が振動数 $f_0 = 960$ Hz のサイレンを鳴らしながら速さ $v_s = 25$ m/s で走行し、前方を速さ $v_o = 10$ m/s で同じ方向に逃げる観測者を追いかけています。音速 $V = 340$ m/s。

(1)観測者が聞く振動数 $f'$:

音源→観測者の向きを正とすると、音源は近づく($v_s = +25$)、観測者は同方向に逃げる($v_o = +10$)。ドップラー効果の一般公式に代入します:

$$f' = \frac{V - v_o}{V - v_s} f_0 = \frac{340 - 10}{340 - 25} \times 960 = \frac{330}{315} \times 960$$

分数を約分すると $\dfrac{330}{315} = \dfrac{22}{21}$ なので:

$$f' = \frac{22}{21} \times 960 = \frac{22 \times 960}{21} = \frac{21120}{21} \fallingdotseq 1006 \text{ Hz}$$

(2)観測者に届く音の波長:

波長は音源の運動だけで決まり、観測者の速度には依存しません:

$$\lambda' = \frac{V - v_s}{f_0} = \frac{340 - 25}{960} = \frac{315}{960} = \frac{21}{64} \fallingdotseq 0.328 \text{ m}$$
答え:
(1)$f' = \dfrac{22}{21} \times 960 \fallingdotseq 1006$ Hz
(2)$\lambda' = \dfrac{21}{64} \fallingdotseq 0.328$ m
補足:符号の取り方の注意

ドップラー効果の公式 $f' = \dfrac{V - v_o}{V - v_s} f_0$ では、音源→観測者の向きを正とします。

  • パトカーは観測者に向かって進む → $v_s = +25$ m/s
  • 観測者はパトカーから離れる方向に進む → $v_o = +10$ m/s

逆に、観測者が音源に近づく場合は $v_o < 0$ となり分子が大きくなります。

Point

ドップラー効果の一般公式:$f' = \dfrac{V - v_o}{V - v_s} f_0$。音源→観測者の方向を正とする。近づく場合は $v_s > 0$(分母減少→$f'$増加)、遠ざかる場合は $v_o > 0$(分子減少→$f'$減少)。