基本問題320 反射板がある場合のドップラー効果

反射板が動く場合のドップラー効果

直感的理解
反射板が遠ざかる場合、反射板は「遠ざかる観測者」として音を受け取り(振動数が下がる)、さらに「遠ざかる音源」として反射音を出します(さらに振動数が下がる)。つまりドップラー効果が2回起こるので、音は大きく低くなります。

おんさ S(振動数 $f_0$)の両側に観測者 P と反射板 R があります。P と S は静止し、R は速さ $v$ で S から遠ざかるように動きます。音速を $V$ とします。

(1)R が受け取る S からの音の波長と振動数 $f_1$:

S は静止しているので、音の波長は変わりません:

$$\lambda = \frac{V}{f_0}$$

R は S から遠ざかる観測者($v_o = +v$、S→R の向きが正)なので、受け取る振動数は:

$$f_1 = \frac{V - v_o}{V - v_s} f_0 = \frac{V - v}{V - 0} f_0 = \frac{V - v}{V} f_0$$

(2)P が聞く反射音の振動数:

R は振動数 $f_1$ の音を反射します。R は P から遠ざかる音源($v_s = +v$)と見なせ、P は静止($v_o = 0$)なので:

$$f_2 = \frac{V - 0}{V + v} f_1 = \frac{V}{V + v} \times \frac{V - v}{V} f_0 = \frac{V - v}{V + v} f_0$$
答え:
(1)波長:$\lambda = \dfrac{V}{f_0}$、振動数:$f_1 = \dfrac{V - v}{V} f_0$
(2)反射音の振動数:$f_2 = \dfrac{V - v}{V + v} f_0$
補足:反射板が近づく場合

反射板が S に近づく場合は $v$ の符号が逆になり

$$f_2 = \frac{V + v}{V - v} f_0$$

近づく反射板は音を高くします($f_2 > f_0$)。遠ざかる場合は $f_2 < f_0$ です。

Point

反射板のドップラー効果は2段階:(1) 反射板を「動く観測者」として受け取る振動数を求め、(2) 反射板を「動く音源」として反射音の振動数を求める。反射板が速さ $v$ で遠ざかるなら $f = \dfrac{V-v}{V+v}f_0$。

🧮 数値計算で確認

音速 340 m/s、おんさの振動数 500 Hz、反射板の速さ 20 m/s の場合を考えます。波長は 340 ÷ 500 = 0.680 m です。

反射板が受け取る振動数:

$$f_1 = \frac{V - v}{V} f_0 = \frac{340 - 20}{340} \times 500 = \frac{320}{340} \times 500 \fallingdotseq 471 \text{ Hz}$$

観測者が聞く反射音の振動数:

$$f_2 = \frac{V - v}{V + v} f_0 = \frac{340 - 20}{340 + 20} \times 500 = \frac{320}{360} \times 500 \fallingdotseq 444 \text{ Hz}$$

うなりの振動数(直接音との差):

$$|f_0 - f_2| = 500 - 444 = 56 \text{ Hz}$$