基本問題321 風がある場合のドップラー効果

風がある場合のドップラー効果

直感的理解
風がある場合、音波は媒質(空気)ごと移動します。音源も観測者も静止しているなら、風は波の伝搬速度を変えますが、波長も同じ割合で変化するため、観測者が受け取る振動数は変わりません。風は「舞台ごと動かす」ようなもので、相対的な振動数には影響しないのです。

音源 P(振動数 $f_0$)と観測者 S がともに静止し、距離 $d$ [m] 離れています。音速 $V$ [m/s]、P から S の方向に風速 $w$ [m/s] の風が吹いています。

(1)S が受け取る音の振動数:

音源も観測者も静止しているとき、風があっても振動数は変わりません。

理由:風下方向の実効音速は $V + w$ となり、波長も伸びます:

$$\lambda' = \frac{V + w}{f_0}$$

観測者が受け取る振動数は「実効音速 $\div$ 波長」なので:

$$f' = \frac{V + w}{\lambda'} = \frac{V + w}{\dfrac{V + w}{f_0}} = f_0$$

波速と波長が同じ割合で変化するため、振動数は不変です。

(2)音が届くまでの時間:

風下方向(P → S)では実効音速が $V + w$ になるので:

$$t = \frac{d}{V + w}$$

風上方向(S → P)では実効音速が $V - w$ になるので:

$$t' = \frac{d}{V - w}$$
答え:
(1)$f' = f_0$(風があっても振動数は変わらない)
(2)風下方向の到達時間:$t = \dfrac{d}{V + w}$、風上方向:$t' = \dfrac{d}{V - w}$
補足:風がある場合に音源や観測者が動くとき

風がある場合のドップラー効果の一般公式は、音速 $V$ を実効音速 $V' = V + w$(風下)または $V' = V - w$(風上)に置き換えるだけです。

$$f' = \frac{V' - v_o}{V' - v_s} f_0$$

ただし、音源と観測者がともに静止なら $v_s = v_o = 0$ で $f' = f_0$ となります。

Point

風があっても振動数は変わらない(音源・観測者が静止の場合):風は実効音速を変えるが、波長も同じ割合で変わるため振動数は不変。到達時間のみ変化する。動く場合は $V$ を $V \pm w$ に置き換える。

🧮 数値計算で確認

波長 \(\lambda = 0.80\) m、振動数 \(f = 425\) Hz の場合:

$$v = f\lambda = 425 \times 0.80 = 340 \text{ m/s}$$ $$T = \frac{1}{f} = \frac{1}{425} \fallingdotseq 2.4 \times 10^{-3} \text{ s}$$ $$\text{2.0 m 先に到達する時間: } t = \frac{2.0}{340} \fallingdotseq 5.9 \times 10^{-3} \text{ s}$$