基本問題322 斜め方向のドップラー効果

斜め方向のドップラー効果

直感的理解
斜め方向のドップラー効果では、音源の速度の「観測者方向の成分」だけが効きます。飛行機が真横を通過する瞬間($\theta = 90°$)は近づきも遠ざかりもしないので、元の振動数が聞こえます。近づいているときは高い音、遠ざかるときは低い音に変わります。

速さ $v_s = 20$ m/s の飛行機が振動数 $f_0 = 340$ Hz の音を出しながら、地上の観測者 O の真上を通過します。音速 $V = 340$ m/s。観測者から見た飛行機の仰角を $\theta$ とします。

斜め方向のドップラー効果の公式:

音源の速度の観測者方向成分は $v_s \cos\theta$ です。ドップラー効果の公式で $v_s$ をこの成分に置き換えます:

$$f' = \frac{V}{V - v_s \cos\theta} f_0$$

(1)飛行機が近づいているとき($\theta = 0°$、真正面から接近):

$$f' = \frac{V}{V - v_s \cos 0°} f_0 = \frac{V}{V - v_s} f_0 = \frac{340}{340 - 20} \times 340 = \frac{340}{320} \times 340 \fallingdotseq 361 \text{ Hz}$$

(2)飛行機が真上にいるとき($\theta = 90°$, $\cos 90° = 0$):

$$f' = \frac{V}{V - v_s \times 0} f_0 = \frac{V}{V} f_0 = f_0 = 340 \text{ Hz}$$

(3)飛行機が遠ざかるとき($\theta = 180°$、真後ろ):

$$f' = \frac{V}{V - v_s \cos 180°} f_0 = \frac{V}{V + v_s} f_0 = \frac{340}{340 + 20} \times 340 = \frac{340}{360} \times 340 \fallingdotseq 321 \text{ Hz}$$
答え:
$f' = \dfrac{V}{V - v_s \cos\theta} f_0$
真正面($\theta = 0°$):$f' = 361$ Hz
真上($\theta = 90°$):$f' = 340$ Hz(変化なし)
真後ろ($\theta = 180°$):$f' = 321$ Hz
補足:なぜ音源の速度成分だけが効くのか

ドップラー効果は、音源が「観測者に近づく/遠ざかる」ことで波が圧縮/伸張されることが本質です。音源の速度のうち観測者に垂直な成分は、観測者との距離を変えないので、ドップラー効果に寄与しません。

数学的には、音源から観測者への単位ベクトル $\hat{r}$ と音源の速度ベクトル $\vec{v}_s$ の内積 $\vec{v}_s \cdot \hat{r} = v_s \cos\theta$ が実効的な接近速度です。

Point

斜め方向のドップラー効果:$f' = \dfrac{V}{V - v_s \cos\theta} f_0$。音源の速度の「観測者方向の成分」$v_s \cos\theta$ だけが振動数の変化に寄与する。真横通過時($\theta = 90°$)は $f' = f_0$。