基本例題60 音源と観測者が動く場合のドップラー効果

設問(1) 追い越す前の振動数

直感的理解
パトカーが後方から近づくとき、音源→観測者の向きを正とします。パトカーの速さ $u$ が音源速度 $v_\text{S} = u$、自転車の速さ $v$ が観測者速度 $v_0 = v$(ともに同じ向き)です。音源が追い越す前は音が後方に伝わるので、音源→観測者の向きは自転車の進行方向と同じです。

設定:パトカーの速さ $u$、自転車の速さ $v$、音の速さ $V$。追い越す前は同じ向きに進行。

追い越す前:パトカーがOの後方から近づきます。音源→観測者の向きを正とすると、パトカーもOも同じ向き(正の向き)に動きます。

ドップラー効果の一般公式 $f' = \dfrac{V - v_o}{V - v_s} f$ に代入:

$$f' = \frac{V - v}{V - u} f \text{ [Hz]}$$

$u > v$(パトカーのほうが速い)なので $V - v > V - u$、したがって $f' > f$(高く聞こえる)。

答え:
$$f' = \frac{V - v}{V - u} f \text{ [Hz]}$$
Point

音源と観測者が同じ向きに動くとき:$f' = \dfrac{V - v_0}{V - v_\text{S}} f$。$v_\text{S}$, $v_0$ は音の伝わる向き(音源→観測者)を正。

設問(2) 追い越した後の振動数

直感的理解
追い越した後はパトカーが前方にいて遠ざかります。音の伝わる向きが反転するので、$v_\text{S}$ と $v_0$ の符号が変わります。

追い越した後:パトカーは前方、Oは後方。音はパトカーから後方のOに伝わります。

音源の速度 $v_\text{S} = -u$(音の伝わる向きと逆)、観測者の速度 $v_0 = -v$(音の伝わる向きと逆):

$$f'' = \frac{V - (-v)}{V - (-u)} f = \frac{V + v}{V + u} f \text{ [Hz]}$$
答え:
$$f'' = \frac{V + v}{V + u} f \text{ [Hz]}$$
補足:追い越す前後の振動数の比較

$u > v$(パトカーのほうが速い)のとき:

  • $f' = \dfrac{V-v}{V-u} f > f$(近づく → 高い):$V-v > V-u$ より分子 > 分母
  • $f'' = \dfrac{V+v}{V+u} f < f$(遠ざかる → 低い):$V+v < V+u$ より分子 < 分母

直感と一致します。追い越すときにサイレンの音が「ピーポー」から低くなるのはこの効果です。

Point

追い越す前後で公式の $v_\text{S}$, $v_0$ の符号が反転する。近づくとき $f' > f$、遠ざかるとき $f'' < f$。

🧮 具体的な数値例

たとえば音速 \(V = 340\) m/s、音源の振動数 \(f = 1000\) Hz、音源の速度 \(v_s = 20\) m/s(近づく場合):

$$f' = \frac{V}{V - v_s} f = \frac{340}{340 - 20} \times 1000 = \frac{340}{320} \times 1000 \fallingdotseq 1063 \text{ Hz}$$