基本例題62 みかけの深さ,全反射

設問(1) みかけの深さ

直感的理解
水やガラスの中にある物体は、光の屈折のせいで実際より浅い位置にあるように見えます。これが「みかけの深さ」です。屈折率 $n$ の媒質中にある深さ $d$ の物体は、真上から見ると深さ $d/n$ にあるように見えます。プールの底が浅く見えるのはこの現象です。

設定:屈折率 $n$ の媒質中の深さ $d$ に物体 P がある。真上近くから見たときのみかけの深さを求める。

立式:媒質から空気への屈折で、角度が十分小さいとき $\sin\theta \fallingdotseq \tan\theta$ を使うと:

真上付近($\theta$ が小さい)では、$\tan\theta_2 \fallingdotseq \sin\theta_2$、$\tan\theta_1 \fallingdotseq \sin\theta_1$ より:

ここで $d'$ はみかけの深さ、$x$ は法線からの水平距離。整理すると:

答え:
$$\text{みかけの深さ} = \frac{d}{n}$$
Point

屈折率 $n$ の媒質中の深さ $d$ にある物体のみかけの深さは $d/n$。屈折率が大きいほど浅く見える。

設問(2) 全反射の臨界角

直感的理解
屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が進むとき、入射角を大きくしていくと屈折角が先に90°に達します。この入射角が臨界角で、これを超えると光は境界面を透過できず、すべて反射されます(全反射)。光ファイバーやダイヤモンドの輝きはこの全反射を利用しています。

設定:屈折率 $n_1$ の媒質から屈折率 $n_2$($n_2 < n_1$)の媒質へ光が入射する。

全反射の条件:屈折角 $\theta_2 = 90°$ のとき、入射角が臨界角 $i_0$ となる。

空気($n_2 = 1$)の場合:

入射角 $\theta_1 > i_0$ のとき全反射が起こる。

答え:
$$\sin i_0 = \frac{n_2}{n_1}$$

$n_1 > n_2$ のとき、入射角が $i_0$ より大きいと全反射する。

補足:波の干渉条件

2つの波源からの経路差 $\Delta r$ と干渉条件:

$$\text{強め合い:} \Delta r = n\lambda \quad (n = 0, 1, 2, \ldots)$$ $$\text{弱め合い:} \Delta r = \left(n + \frac{1}{2}\right)\lambda$$
Point

全反射は屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ向かう光でのみ起こる。臨界角 $\sin i_0 = n_2/n_1$ を覚えよう。

具体的な数値計算

(1) みかけの深さ:水(\(n = 1.33\))のプールで深さ \(d = 2.0\) m の底にある物体を真上から見ると:

$$d' = \frac{d}{n} = \frac{2.0}{1.33} \fallingdotseq 1.5 \text{ m}$$

実際の深さより約 0.5 m 浅く見えます。

(2) 臨界角:水(\(n_1 = 1.33\))から空気(\(n_2 = 1.00\))への全反射の臨界角:

$$\sin i_0 = \frac{n_2}{n_1} = \frac{1.00}{1.33} \fallingdotseq 0.752$$ $$i_0 = \arcsin(0.752) \fallingdotseq 48.8°$$

ダイヤモンド(\(n = 2.42\))の場合は:

$$\sin i_0 = \frac{1.00}{2.42} \fallingdotseq 0.413, \quad i_0 \fallingdotseq 24.4°$$

臨界角が小さいほど内部で全反射しやすく、輝きが強くなります。