基本例題63 凸レンズによる像

設問(1)(2) 像の位置と大きさ

直感的理解
凸レンズは光を集める働きがあります。物体が焦点より遠い位置にあるとき、レンズの反対側に倒立実像ができます。物体をレンズに近づけると像は遠ざかり大きくなり、焦点に近づくと像は無限遠に。焦点より近いと正立虚像(虫めがね)になります。ドラッグして確認してみましょう。

設定:焦点距離 $f = 20\,\text{cm}$ の凸レンズ、物体距離 $a = 30\,\text{cm}$、物体の大きさ $15\,\text{cm}$。

(1) 作図法:3本の代表光線を描きます。

  1. 光軸に平行な光 → レンズ通過後、後方の焦点 $F'$ を通る
  2. 前方の焦点 $F$ を通る光 → レンズ通過後、光軸に平行に進む
  3. レンズの中心を通る光 → 直進する

(2) 写像公式による計算:$a = 30\;\text{cm}$、$f = 20\;\text{cm}$ を代入:

$$\frac{1}{b} = \frac{1}{f} - \frac{1}{a} = \frac{1}{20} - \frac{1}{30} = \frac{3 - 2}{60} = \frac{1}{60}$$ $$\therefore \quad b = 60\;\text{cm}$$

$b > 0$ であるから、レンズの後方 $60\,\text{cm}$ に倒立実像ができます。

倍率:

$$m = \frac{b}{a} = \frac{60}{30} = 2.0$$

像の大きさ:$15 \times 2.0 = 30\,\text{cm}$

答え:

レンズの後方 $60\,\text{cm}$ に大きさ $30\,\text{cm}$ の倒立実像。倍率は $2.0$ 倍。

Point

写像公式 $\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{f}$ で $b > 0$ なら実像、$b < 0$ なら虚像。倍率 $m = |b/a|$。

設問(3) 物体を1.0 cm下に動かすと

直感的理解
凸レンズでできる倒立実像は、物体と反対向きに動きます。物体を下に $1.0\,\text{cm}$ 動かすと、像は上に $m \times 1.0 = 2.0\,\text{cm}$ 移動します。

解答:倍率は $2.0$ の倒立実像なので、物体が $1.0\,\text{cm}$ 下に移動すると、像は物体と反対向きに $2.0$ 倍の距離だけ移動する。つまり上に $2.0\,\text{cm}$ 移動する。

答え:

像はどちら向きに $2.0\,\text{cm}$ 移動するか → 上に $2.0\,\text{cm}$ 移動

Point

倍率 $m$ 倍の倒立実像では、物体の移動方向と反対向きに $m$ 倍の距離だけ像が移動する。

設問(4) レンズの下半分をおおうと

直感的理解
レンズの下半分を黒い紙でおおっても、上半分を通る光が像を形成するため、像は消えず、位置も大きさも変わりません。ただし、レンズを通る光の量が減るため、像全体が暗くなります

解答:レンズの下半分を黒い紙でおおうと、光が通過できる面積が半分になりますが、上半分を通った光によって像は形成されます。したがって:

答え:

像は形成されるが、全体が暗くなる。像の位置・大きさは変わらない。

補足:実像と虚像の見分け方

実像はスクリーンに映る像(光が実際に集まる)、虚像はスクリーンに映らない像です。凸レンズで物体が焦点の外なら実像、内側なら虚像になります。

Point

レンズの一部をおおっても像は消えない。光量が減って暗くなるだけ。レンズのすべての部分が像の各点を形成に寄与している。