基本問題347 回折格子

回折格子による干渉

直感的理解
回折格子は非常に多くのスリットが等間隔に並んだもの。各スリットからの光の経路差が波長の整数倍になる方向では、すべてのスリットからの光が強め合い、非常に鮮明な明線が生じます。格子定数 $d$(スリット間隔)が小さいほど回折角は大きくなります。

(1) 0次の明線

格子定数 $d$ は 1 cm あたり $N$ 本の刻みがあるとき

$$d = \frac{1}{N} \;\text{[cm]}$$

例えば $N = 500$ 本/cm なら $d = \dfrac{1}{500}\;\text{cm} = 2.0 \times 10^{-3}\;\text{cm} = 2.0 \times 10^{-5}\;\text{m}$。

白色光を入射したとき、中央の最も明るい明線は $m = 0$(0次)の明線です。回折格子の明線条件は

$$d\sin\theta = m\lambda \quad (m = 0, \pm 1, \pm 2, \ldots)$$

$m = 0$ では $\sin\theta = 0$、つまり $\theta = 0$(直進方向)。波長に依存しないので全色が重なり白く明るく見えます。

(2) 特定角度での明線

$m = 1$ のとき明線条件は

$$d\sin\theta = \lambda \quad \Rightarrow \quad \lambda = d\sin\theta$$

回折角 $\theta$ が小さいとき $\sin\theta \fallingdotseq \theta$(ラジアン)を使うと

$$\lambda \fallingdotseq d\theta$$

例えば $d = 2.0 \times 10^{-5}$ m, $\theta = 0.025$ rad なら

$$\lambda = 2.0 \times 10^{-5} \times 0.025 = 5.0 \times 10^{-7}\;\text{m} = 500\;\text{nm}$$

(3) 1 cm あたりの干渉縞の本数

$m = 1$ の明線のスクリーン上での位置 $y$ は、格子からスクリーンまでの距離 $L$ として

$$y = L\tan\theta \fallingdotseq L\sin\theta = \frac{L\lambda}{d}$$

スクリーン上の 1 cm あたりの干渉縞の本数は、隣り合う次数間の間隔の逆数です。

(4) 回折格子に透明板をかぶせた場合

すべてのスリットに同じ透明板をかぶせると、各スリットからの光の位相は一様にずれるだけ(隣り合うスリット間の経路差は変わらない)なので、干渉縞のパターンは変化しません

答え:
(1) 0 次の明線(中央明線)
(2) $\lambda = d \sin\theta$(条件に数値を代入して求める)
(3) 1 cm あたりの縞の本数は格子定数とスクリーン距離から算出
(4) 全スリットに同じ透明板 → 干渉縞は変化しない
補足:回折格子とヤングの実験の違い

ヤングの実験(2本スリット)では明線がなだらかに広がりますが、回折格子($N$ 本スリット)では明線が鋭くなり、次数間の暗い部分が広くなります。$N$ が大きいほど明線はシャープになり、波長の分離能力(分解能)が高くなります。

Point

回折格子の基本公式:$d\sin\theta = m\lambda$