応用問題370 帯電した小球のつりあい

設問(1) 静電気力の大きさ

直感的理解
等しい電荷 $+q$ をもつ2球が同じ長さの糸でつるされ、静電反発で開きます。角度 $\theta$ と重力から静電気力が求まり、クーロンの法則で電荷量の関係がわかります。

糸の長さを $l$、鉛直からの角度を $\theta$ とすると、AB 間の距離は $r = 2l\sin\theta$。

力のつりあいから:

これがクーロン力 $F = k\dfrac{q^2}{r^2}$ に等しい。

答え:
$$F = mg\tan\theta$$
Point

帯電した小球のつりあいでは、$F = mg\tan\theta$ が基本。$\theta$ をパラメータとして各量を表すとスッキリする。

設問(2) Oにつくる合成電場

直感的理解
A, B は O に対して左右対称なので、水平成分は打ち消し合います。残るのは鉛直下向きの成分のみ。各電場の鉛直成分は $E\cos\theta$($E = kq/l^2$)です。

OA = OB = $l$ より、各電荷がOにつくる電場の大きさ:

対称性から水平成分は打ち消し合い、鉛直成分(下向き)が残ります:

向きは鉛直下向き

答え:
$$E = \frac{2kq\cos\theta}{l^2} \quad (\text{鉛直下向き})$$
Point

対称配置では対称軸方向の成分のみが残る。電場の重ね合わせで対称性を活用しよう。

設問(3) Oの電位

直感的理解
電位はスカラー量なので、ベクトル合成ではなく単純に足し算できます。距離が等しい2つの等量正電荷からの電位は単純に2倍です。

電位はスカラー量なので、向きを考えずに足し合わせます:

答え:
$$V_\mathrm{O} = \frac{2kq}{l}$$
Point

電位はスカラー → 単純加算。電場はベクトル → ベクトル合成。この違いを意識する。

設問(4), (5) 張力と質量

直感的理解
3力のつりあいから、$T = mg/\cos\theta$ で張力が、$m = F/(g\tan\theta)$ で質量が求まります。

設問(4) 張力:

鉛直方向のつりあいから:

$F = mg\tan\theta$、$F = k\dfrac{q^2}{(2l\sin\theta)^2}$ を使うと:

設問(5) 質量:

答え:
$$T = \frac{kq^2}{4l^2\sin^3\theta}$$ $$m = \frac{kq^2}{4gl^2\sin^2\theta\tan\theta}$$
補足:力の見落とし防止チェックリスト

力を列挙する際は、①重力 ②垂直抗力 ③張力 ④摩擦力 ⑤弾性力 の順に確認し、接触力と遠隔力を分けて図示すると見落としを防げます。

Point

帯電小球のつりあい問題は3力の図→水平・鉛直分解が定石。$\theta$ が与えられたらすべて $\theta$ で表現できる。

🧮 数値計算で確認

\(B = 0.40\) T の磁場中を速さ \(v = 5.0\) m/s で移動する長さ \(l = 0.30\) m の導体棒:

$$\mathcal{E} = Blv = 0.40 \times 0.30 \times 5.0 = 0.60 \text{ V}$$ $$R = 3.0 \text{ Ω のとき } I = \frac{\mathcal{E}}{R} = \frac{0.60}{3.0} = 0.20 \text{ A}$$ $$F = BIl = 0.40 \times 0.20 \times 0.30 = 0.024 \text{ N}$$