基本例題68 帯電した小球のつりあい

設問(1) 静電気力の大きさ $F$

直感的理解
帯電した小球同士が反発して糸が開きます。糸が鉛直から傾く角度が大きいほど、静電気力が強いことを意味します。3力のつりあいから、$F = mg\tan\theta$ という関係が導かれます。糸の傾きと重力がわかれば、静電気力がすぐに求まります。

設定:糸の長さ 0.30 m、小球の質量 0.50 kg、2本の糸のなす角 90°(各 45°)、$g = 10$ m/s²

力の分解:小球Aに作用する3力(重力 $mg$、張力 $T$、静電気力 $F$)のつりあいを考えます。

水平方向:

$$F = T\sin\theta$$

鉛直方向:

$$mg = T\cos\theta$$

辺々割ると

$$\frac{F}{mg} = \tan\theta \quad \Rightarrow \quad F = mg\tan\theta$$

$\theta = 45°$ のとき $\tan 45° = 1$ なので

$$F = 0.50 \times 10 \times 1 = 5.0\;\text{N}$$
答え:
$$F = 5.0 \text{ N}$$
Point

糸でつるされた帯電体の問題では、3力のつりあいから $F = mg\tan\theta$ が基本公式。角度の読み取りに注意。

設問(2) 電気量 $q$ [C]

直感的理解
クーロンの法則 $F = k\dfrac{q^2}{r^2}$(等量の電荷)は、電荷量の2乗に比例する放物線型のグラフです。$F = 5.0$ N と交わる点の $q$ を求めるのがこの問題です。

設定:AB 間の距離 $r$ を求めます。糸の長さ $L = 0.30$ m, 角度 $\theta = 45°$ より

$$r = 2L\sin\theta = 2 \times 0.30 \times \sin 45° = 2 \times 0.30 \times \frac{\sqrt{2}}{2} = 0.30\sqrt{2}\;\text{m}$$

立式:クーロンの法則に代入(等量の正電荷 $q$)

$$F = k\frac{q^2}{r^2} \quad \Rightarrow \quad q^2 = \frac{Fr^2}{k}$$

数値代入:

$$q^2 = \frac{5.0 \times (0.30\sqrt{2})^2}{9.0 \times 10^9} = \frac{5.0 \times 0.18}{9.0 \times 10^9} = \frac{0.90}{9.0 \times 10^9} = 1.0 \times 10^{-10}$$ $$q = \sqrt{1.0 \times 10^{-10}} = 1.0 \times 10^{-5}\;\text{C}$$
答え:
$$q = 1.0 \times 10^{-5} \text{ C}$$
補足:力の見落とし防止チェックリスト

力を列挙する際は、①重力 ②垂直抗力 ③張力 ④摩擦力 ⑤弾性力 の順に確認し、接触力と遠隔力を分けて図示すると見落としを防げます。

Point

クーロンの法則 $F = k\dfrac{q_1 q_2}{r^2}$ では、距離 $r$ は「小球間の距離」であり、糸の長さではないことに注意。図を描いて正確に $r$ を求めよう。