時刻 $0$ に断面Aの左側 $vt$ [m] の範囲にいた電子が、$t$ [s] 後に断面Aを通過します(図(a)→(b)の変化)。
この円柱の体積は:
$$V_{\text{柱}} = vtS$$単位体積あたり $n$ 個の自由電子が存在するので、通過する電子の数は:
$$N = n \times vtS = nvtS \text{ [個]}$$1個の電子の電荷は $e$ なので、通過する電荷量は:
$$Q = Ne = envtS \text{ [C]}$$「体積 $vtS$ の中にある自由電子がすべて断面を通過する」と考える。電荷量 = 電子数 × 電気素量。
$I = envS$ は電流の微視的モデルの基本式。$n$(数密度)、$e$(電荷)、$v$(ドリフト速度)、$S$(断面積)の4つで電流が決まる。
$I = envS$ を $v$ について解く:
$$v = \frac{I}{enS}$$数値代入:$S = 1.0\;\text{mm}^2 = 1.0 \times 10^{-6}\;\text{m}^2$
$$v = \frac{1.0}{1.6 \times 10^{-19} \times 8.5 \times 10^{28} \times 1.0 \times 10^{-6}}$$途中計算:分母を整理すると
$$enS = 1.6 \times 8.5 \times 10^{-19+28-6} = 13.6 \times 10^{3} = 1.36 \times 10^{4}$$ $$v = \frac{1.0}{1.36 \times 10^{4}} \fallingdotseq 7.4 \times 10^{-5} \text{ m/s}$$自由電子のドリフト速度は非常に遅いですが、スイッチを入れた瞬間に電場(電気信号)が光速に近い速さで導体全体に伝わります。そのため、すべての電子がほぼ同時に動き始め、瞬時に回路全体で電流が流れます。
$I = envS$ の各量のオーダーを把握しておく。$n \sim 10^{28}\;\text{m}^{-3}$, $e \sim 10^{-19}\;\text{C}$, $S \sim 10^{-6}\;\text{m}^2$ → $v \sim 10^{-5}\;\text{m/s}$。ドリフト速度は非常に遅い。