基本問題437 磁場内のイオンの運動

磁場中のイオンの半円運動(質量分析)

直感的理解
イオンが磁場中に入ると、ローレンツ力で半円を描きます。半径 $r = \dfrac{mv_0}{qB}$ は質量に比例するので、質量が異なるイオンは異なる半径の半円を描きます。これが質量分析器の原理です。到達点の間隔から質量の違いを測定できます。

(1) イオンの速さ $v_0$:

電位差 $V$ で加速されたイオン(電荷 $q$、質量 $m$)のエネルギー保存則より:

$$qV = \frac{1}{2}mv_0^2$$

$v_0$ について解くと:

$$v_0 = \sqrt{\frac{2qV}{m}}$$

(2) 半円の半径 $r$:

磁束密度 $B$ の一様磁場中でローレンツ力が向心力となるので:

$$qv_0 B = \frac{mv_0^2}{r} \quad \Rightarrow \quad r = \frac{mv_0}{qB}$$

(1) の $v_0$ を代入すると:

$$r = \frac{m}{qB}\sqrt{\frac{2qV}{m}} = \frac{1}{qB}\sqrt{2mqV} = \frac{1}{B}\sqrt{\frac{2mV}{q}}$$

(3) 質量 $M_1$, $M_2$ のイオンの到達点の間隔:

各イオンの半径をそれぞれ $r_1$, $r_2$ とすると、スリット S から到達点までの距離は直径 $2r$ に等しい。到達点の間隔 $\Delta$ は直径の差:

$$\Delta = 2r_2 - 2r_1 = \frac{2}{B}\sqrt{\frac{2V}{q}}\left(\sqrt{M_2} - \sqrt{M_1}\right)$$
答え:
$$v_0 = \sqrt{\frac{2qV}{m}}, \quad r = \frac{1}{B}\sqrt{\frac{2mV}{q}}$$ $$\Delta = \frac{2}{B}\sqrt{\frac{2V}{q}}\left(\sqrt{M_2} - \sqrt{M_1}\right)$$
補足:半円運動にかかる時間

半円(半周期)にかかる時間は $\dfrac{T}{2} = \dfrac{\pi m}{qB}$ です。質量が大きいイオンほど到着に時間がかかりますが、これは速さには依存しない点に注意してください。

Point

質量分析器:$r = \dfrac{1}{B}\sqrt{\dfrac{2mV}{q}}$。半径が $\sqrt{m}$ に比例するので、異なる質量のイオンは異なる位置に到達する。到達点の間隔から質量差を測定できる。