応用問題455 磁場の中での導体棒の運動

導体棒の加速と終端速度

直感的理解
電池の起電力 $E$ が棒を加速しますが、棒が速くなるほど誘導起電力 $vBl$ が大きくなり電流が減り、力が弱まります。最終的に $vBl = E$ で力がゼロになり、等速度運動(終端速度)に達します。これは流体抵抗による終端速度と数学的に同じ構造です。

(1) 速さ $v$ のときの電流

棒が速さ $v$ で動くと誘導起電力 $vBl$ が発生。キルヒホッフの法則より:

$$I = \frac{E - vBl}{R}$$

(2) 終端速度 $v_t$

$F = 0$(加速度ゼロ)のとき $I = 0$ なので $E - v_t Bl = 0$:

$$v_t = \frac{E}{Bl}$$

(3) エネルギー収支(単位時間あたり)

電池がする仕事率 $P_E = EI$、ジュール熱の発生率 $P_R = I^2 R$、棒の運動エネルギー変化率をつなぐ関係:

$$EI = I^2 R + \frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}mv^2\right)$$

ただし右辺第2項は棒の運動エネルギーの増加率。

(4) スイッチを S$_2$ に切り替え

電池が回路から外れ、棒は誘導電流によるブレーキ力 $F = IBl = \dfrac{v B^2 l^2}{R}$ で減速します。

答え:
(1) $I = \dfrac{E - vBl}{R}$
(2) $v_t = \dfrac{E}{Bl}$
(3) $W = Q + U$(電池の仕事 = ジュール熱 + 運動エネルギー変化)
(4) $v_t' = \dfrac{E}{Bl}$(上昇後、再び一定速度に)
補足:運動方程式の微分方程式

棒の運動方程式は:

$$m\frac{dv}{dt} = \frac{(E - vBl)Bl}{R}$$

これは1階線形常微分方程式で、解は:

$$v(t) = \frac{E}{Bl}\left(1 - e^{-\frac{B^2l^2}{mR}t}\right)$$

時定数 $\tau = \dfrac{mR}{B^2l^2}$ で、$t \gg \tau$ のとき $v \to E/(Bl)$(終端速度)に指数関数的に近づきます。

Point

導体棒の運動では $E - vBl = RI$ と $F = IBl$ を連立させる。終端速度は $v_t = E/(Bl)$。エネルギー保存で電池の仕事、ジュール熱、運動エネルギーを関連づける。