応用問題457 自己誘導

スイッチの開閉と自己誘導

直感的理解
コイルは「電流の変化を嫌う」素子です。S を閉じた瞬間、コイルは電流の増加を妨げる起電力を発生させ、ゆっくり電流が増加します(時定数 $\tau_1 = L/R_1$)。S を開くと、コイルは電流を流し続けようとして大きな起電力を発生させ、$R_1 + R_2$ を通じて電流が徐々に減少します(時定数 $\tau_2 = L/(R_1 + R_2)$)。

(1) S を閉じて十分時間が経ったときの電流 $I_0$

定常状態ではコイルの自己誘導起電力はゼロなので、回路は電池 $V_0$ と抵抗 $R_1$ のみ:

$$I_0 = \frac{V_0}{R_1}$$

(2) S を開いた直後の電流 $I$ と電圧 $V$

S を開いた瞬間、コイルは電流 $I_0$ を維持しようとします。電流は $R_1$ と $R_2$ を直列に通って流れます:

$$I = I_0 = \frac{V_0}{R_1}$$

PG 間の電圧は $R_1$ と $R_2$ の直列での電圧降下:

$$V = I_0(R_1 + R_2) = \frac{V_0(R_1 + R_2)}{R_1}$$

(3) $R_1$ で消費されるエネルギーの総量 $Q$

コイルに蓄えられたエネルギー $U = \dfrac{1}{2}LI_0^2$ が $R_1$ と $R_2$ の直列回路で消費。$R_1$ の消費分は抵抗比で配分:

$$Q = \frac{R_1}{R_1 + R_2} \cdot \frac{1}{2}LI_0^2 = \frac{R_1}{R_1 + R_2} \cdot \frac{LV_0^2}{2R_1^2} = \frac{LV_0^2}{2R_1(R_1 + R_2)}$$
答え:
(1) $I_0 = \dfrac{V_0}{R_1}$
(2) $I = \dfrac{V_0}{R_1}$、$V = \dfrac{V_0(R_1 + R_2)}{R_1}$
(3) $Q = \dfrac{R_1}{R_1 + R_2} \cdot \dfrac{1}{2}LI_0^2 = \dfrac{LV_0^2}{2R_1(R_1 + R_2)}$
補足:自己誘導による高電圧

S を開くと、PG 間に $V = I_0(R_1 + R_2)$ の電圧が発生します。$R_2 \gg R_1$ のとき、これは電源電圧 $V_0$ よりもはるかに大きくなり得ます。

例えば $V_0 = 10$ V, $R_1 = 5$ $\Omega$, $R_2 = 995$ $\Omega$ なら:

$$V = \frac{10 \times 1000}{5} = 2000 \text{ V}$$

これが自動車の点火プラグや蛍光灯の点灯に利用される原理です。

Point

自己誘導では、S を開いた瞬間にコイルが電流を維持しようとして高電圧を発生させる。蓄積エネルギー $U = \frac{1}{2}LI^2$ は各抵抗で抵抗値の比に分配されて消費される。