基本問題445 誘導電流の向き

レンツの法則による誘導電流の向きの判定

直感的理解
レンツの法則は「変化を嫌がる」法則です。磁石が近づいて磁束が増えると、コイルは「増やさないで!」と磁束を減らす向きに電流を流します。磁石が遠ざかって磁束が減ると、「減らさないで!」と磁束を増やす向きに流します。導線Aを近づけたり遠ざけたりする場合も同様です。

設定:直線電流を流した導線 A をコイル B に近づけたり遠ざけたりする。誘導電流の向きを考える。

レンツの法則の適用手順:

  1. 導線 A の電流がつくる磁場の向きを右ねじの法則で求める
  2. コイル B を貫く磁束が増加か減少かを判断
  3. レンツの法則により、磁束の変化を妨げる向きに誘導電流が流れる

(1) 導線 A を近づける場合:

導線 A に対して反発する向き(反対方向の磁場を作る向き)に電流が流れます。

(2) 導線 A の電流を一定にしたとき:

磁束の変化がないので誘導電流は流れません。

(3) 導線 A を遠ざける場合:

導線 A に引き付ける向き(同じ方向の磁場を作る向き)に電流が流れます。

答え:
(1) 導線 A を近づけると、コイルを貫く磁束の増加を妨げる向きに誘導電流が流れる(検流計の振れの方向で判定)
(2) 磁束が変化しないので誘導電流は流れない
(3) 導線 A を遠ざけると、磁束の減少を妨げる向きに誘導電流が流れる((1)と逆向き)
補足:検流計の振れの方向の読み方

検流計は中央が 0 で、電流の向きによって右または左に振れます。(1) と (3) では振れの方向が逆になります。(2) では振れません。磁束の変化速度が大きいほど、振れも大きくなります。

具体的な数値での確認

レンツの法則は誘導起電力の大きさ $V = -N\dfrac{d\Phi}{dt}$ で定量化できます。例として、巻数 $N = 100$ 回のコイルを貫く磁束が $0.02$ 秒間に $\Phi_1 = 5.0 \times 10^{-4}$ Wb から $\Phi_2 = 2.0 \times 10^{-3}$ Wb に変化したとします:

$$\Delta \Phi = \Phi_2 - \Phi_1 = 2.0\times10^{-3} - 5.0\times10^{-4} = 1.5 \times 10^{-3} \text{ Wb}$$ $$|V| = N \left|\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\right| = 100 \times \frac{1.5\times10^{-3}}{0.02} = 7.5 \text{ V}$$

コイルの抵抗を $R = 15$ Ω とすると、誘導電流は

$$I = \frac{|V|}{R} = \frac{7.5}{15} = 0.50 \text{ A}$$

レンツの法則で向きが決まり、式で大きさが決まります。

Point

レンツの法則:誘導電流は、コイルを貫く磁束の変化を妨げる向きに流れる。磁束増加 → 減らす向き、磁束減少 → 増やす向き。磁束一定 → 誘導電流ゼロ。