基本問題447 磁場を横切る長方形コイルに生じる誘導起電力

長方形コイルの誘導起電力

直感的理解
長方形コイルが磁場の領域を通過するとき、起電力が生じるのは「コイルを貫く磁束が変化するとき」だけです。コイルの一辺だけが磁場に入っている(または出ている)ときは磁束が変化しますが、コイル全体が磁場内にあるときは磁束が一定なので起電力はゼロです。

設定:幅 $a$、高さ $b$ の長方形コイルが、幅 $d$($d > a$)の一様磁場 $B$(紙面裏向き)の領域を速度 $v$ で水平に横切る。

各段階での誘導起電力:

(i) コイルが磁場に入り始める段階:

右辺だけが磁場内にあり、磁束が増加。時間 $\Delta t$ で面積 $\Delta S = b \cdot v\Delta t$ が磁場に入るので:

$$|V| = B \frac{\Delta S}{\Delta t} = Bvb$$

(ii) コイル全体が磁場内にある段階:

磁束は $\Phi = Bab$ で一定なので:

$$V = 0$$

(iii) コイルが磁場から出始める段階:

磁束が減少。同様に面積 $b \cdot v\Delta t$ が磁場から出るので:

$$|V| = Bvb$$

(向きは (i) と逆)

答え:
(i) 進入時:$V = Bvb$(磁束増加、レンツの法則で反時計回りの誘導電流)
(ii) 全体が磁場内:$V = 0$
(iii) 退出時:$V = Bvb$(磁束減少、時計回りの誘導電流)
補足:誘導電流の向きの詳細

進入時は磁束(紙面裏向き)が増加するので、レンツの法則より紙面表向きの磁束を作る向き=反時計回りに電流が流れます。退出時は磁束が減少するので、紙面裏向きの磁束を維持する向き=時計回りに電流が流れます。

Point

長方形コイルが一様磁場を横切るとき、起電力のグラフは「正パルス → ゼロ → 負パルス」の形になる。起電力が発生するのは磁場の境界を辺が横切っているときだけ。

🧮 具体的な数値例

たとえば \(B = 0.50\) T の磁場中で、長さ \(l = 0.20\) m の導体が \(v = 3.0\) m/s で動く場合:

$$\mathcal{E} = Blv = 0.50 \times 0.20 \times 3.0 = 0.30 \text{ V}$$ $$R = 2.0 \text{ Ω のとき } I = \frac{\mathcal{E}}{R} = \frac{0.30}{2.0} = 0.15 \text{ A}$$