基本問題448 電磁誘導と終端速度

磁場中の導体棒の終端速度

直感的理解
導体棒が磁場中で加速されると、速度が上がるにつれて誘導起電力($V = vBl$)が大きくなり、誘導電流も増えます。すると棒が受ける制動力($F_{\text{brake}} = BIl$)も増加し、やがて外力と釣り合って加速度がゼロになります。この速度が終端速度です。

設定:磁束密度 $B$ の一様磁場中で、間隔 $l$ のレール上を導体棒 PQ が抵抗 $R$ とつながった回路内で運動する。外力 $F$ で棒を押し続ける。

(1) 誘導起電力と誘導電流:

速さ $v$ で運動する導体棒が磁場を横切ることで生じる誘導起電力は

$$V = vBl$$

回路の抵抗が $R$ なので、オームの法則より誘導電流は

$$I = \frac{V}{R} = \frac{vBl}{R}$$

(2) 導体棒に働く制動力:

電流 $I$ が流れる長さ $l$ の導体棒が磁束密度 $B$ の磁場中で受ける力(フレミングの左手の法則)は

$$F_{\text{brake}} = BIl = B \cdot \frac{vBl}{R} \cdot l = \frac{B^2 l^2 v}{R}$$

この力は運動方向と逆向きに働く制動力(ブレーキ力)です。

(3) 終端速度の条件(加速度 = 0):

加速度がゼロになる条件は、外力 $F$ と制動力が釣り合うことです:

$$F = F_{\text{brake}} = \frac{B^2 l^2 v_0}{R}$$

$v_0$ について解くと、終端速度は

$$v_0 = \frac{FR}{B^2 l^2}$$
答え:
(1) $V = vBl$, $I = \dfrac{vBl}{R}$
(2) 制動力 $F_{\text{brake}} = \dfrac{B^2 l^2 v}{R}$
(3) 終端速度 $v_0 = \dfrac{FR}{B^2 l^2}$
補足:終端速度でのエネルギー収支

終端速度 $v_0$ で運動するとき、外力がする仕事率と抵抗で消費される電力が等しくなります:

$$P_{\text{ext}} = Fv_0 = \frac{V^2}{R} = \frac{(v_0 Bl)^2}{R} = P_R$$

エネルギー保存則からも終端速度を導けます。

Point

磁場中の導体棒の終端速度は $v_0 = \dfrac{FR}{B^2 l^2}$。速度に比例して制動力が増加するため、やがて外力と釣り合う。$R$ が大きいほど電流が小さく制動力が弱いので、終端速度は大きくなる。