設定:自己インダクタンス $L$ のコイル、内部抵抗無視、抵抗 $R$、起電力 $E$ の電池をつないだ RL 回路。スイッチ S を閉じた後の電流と自己誘導起電力の変化を求める。
(1) スイッチを閉じた直後($t = 0$):
キルヒホッフの第二法則より回路方程式は:
$$E = L\frac{dI}{dt} + RI$$$t = 0$ では $I = 0$(コイルは電流の急変を許さない)なので:
$$E = L\frac{dI}{dt}\bigg|_{t=0} \quad \Rightarrow \quad \frac{dI}{dt}\bigg|_{t=0} = \frac{E}{L}$$数値例:$E = 10$ V、$L = 0.20$ H、$R = 10$ $\Omega$ のとき:
$$\frac{dI}{dt}\bigg|_{t=0} = \frac{10}{0.20} = 50 \text{ A/s}$$このとき自己誘導起電力は $V_L = E = 10$ V(電源の起電力と等しく、すべての電圧がコイルにかかる)。
(2) 十分時間が経ったとき($t \to \infty$):
定常状態では $\dfrac{dI}{dt} = 0$ なので、コイルの自己誘導起電力はゼロとなり、コイルは単なる導線として振る舞う:
$$E = RI \quad \Rightarrow \quad I = \frac{E}{R} = \frac{10}{10} = 1.0 \text{ A}, \quad V_L = 0$$(3) 一般解:
回路方程式 $E = L\dfrac{dI}{dt} + RI$ を初期条件 $I(0) = 0$ で解くと:
$$I(t) = \frac{E}{R}\left(1 - e^{-Rt/L}\right)$$時定数:
$$\tau = \frac{L}{R} = \frac{0.20}{10} = 0.020 \text{ s} = 20 \text{ ms}$$$t = \tau = 20$ ms で定常値の約 63%、$t = 3\tau = 60$ ms で約 95% に到達する。
$t = \tau$ のときの電流:
$$I(\tau) = \frac{10}{10}\left(1 - e^{-1}\right) = 1.0 \times 0.632 = 0.63 \text{ A}$$自己誘導起電力は:
$$V_L(t) = L\frac{dI}{dt} = E\,e^{-t/\tau}$$$t = \tau$ のとき $V_L = 10 \times e^{-1} = 10 \times 0.368 = 3.7$ V。
定常電流 $I_0 = E/R$ が流れている状態でスイッチを切ると、コイルは電流を流し続けようとして大きな逆起電力を発生します。これが蛍光灯の点灯や自動車のイグニッションコイルの原理です。理論的には:
$$V_L = -L\frac{dI}{dt}$$$dI/dt$ が非常に大きくなるため、$V_L$ は電源電圧 $E$ よりもはるかに大きくなりえます。
RL 回路の時定数は $\tau = L/R$。$L$ が大きいほど、$R$ が小さいほど電流の立ち上がりは遅い。$t = \tau$ で定常値の約 63%、$t = 3\tau$ で約 95%、$t = 5\tau$ で約 99% に到達する。