基本例題87 コイルに生じる誘導起電力

コイルに生じる誘導起電力のグラフ

直感的理解
コイルを貫く磁束が変化しているときだけ誘導起電力が発生します。磁束が一定なら起電力はゼロ。磁束の変化が急なほど起電力は大きくなります。上のシミュレーションで $B(t)$ の傾きと $V(t)$ の対応を確認してみましょう。

設定:巻数 $N = 50$ 回、断面積 $S = 0.02$ m² のコイル。磁束密度 $B$ は図2のように時間変化する。

ファラデーの電磁誘導の法則:

$$|V| = N \left| \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} \right| = NS \left| \frac{\Delta B}{\Delta t} \right|$$

各区間の計算:

$t = 0 \sim 1$ s, $t = 4 \sim 6$ s:$\Delta B / \Delta t = 0$ なので $V = 0$ V

$t = 1 \sim 4$ s:$B$ が $0$ から $0.3$ T に一様に増加(グラフの傾き $= 0.1$ T/s)

$$|V| = 50 \times 0.02 \times 0.1 = 0.1 \text{ V}$$

レンツの法則より誘導電流は b $\to$ a の向き。a に対して b の電位は正なので $V = +0.1$ V。

$t = 6 \sim 10$ s:$B$ が $0.3$ T から $-0.5$ T に変化(傾き $= -0.2$ T/s)

$$|V| = 50 \times 0.02 \times 0.2 = 0.2 \text{ V}$$

レンツの法則より a $\to$ b の向きに電流が流れ、$V = -0.2$ V。

答え:
$V$-$t$ グラフ:$t = 0 \sim 1$ s で $V = 0$、$t = 1 \sim 4$ s で $V = 0.1$ V、$t = 4 \sim 6$ s で $V = 0$、$t = 6 \sim 10$ s で $V = -0.2$ V
補足:レンツの法則と起電力の符号

レンツの法則は「コイルを貫く磁束の変化を妨げる向きに誘導起電力が発生する」というものです。

  • $t = 1 \sim 4$ s:$B$ が増加 → 増加を妨げる向き → b が高電位
  • $t = 6 \sim 10$ s:$B$ が減少(負の向きに増加)→ 変化を妨げる向き → b が低電位

右ねじの法則と合わせて、a, b 間の抵抗に流れる電流の向きから電位の高低を判断します。

Point

ファラデーの法則 $V = -N \dfrac{\Delta \Phi}{\Delta t}$ で、$B$-$t$ グラフの傾きが誘導起電力を決定する。傾き=一定なら起電力も一定、傾き=0 なら起電力はゼロ。