原理:質量 \(m\)、電荷 \(q\)(負)の油滴が極板間距離 \(d\)、電圧 \(V\) の平行板コンデンサー内で静止するとき、重力と静電気力が釣り合います。
釣り合いの条件:
極板間の電場は
$$E = \frac{V}{d}$$油滴に働く力の釣り合い(上向き正):
$$qE = mg$$$E = V/d$ を代入すると
$$q \cdot \frac{V}{d} = mg$$$q$ について解くと
$$q = \frac{mgd}{V}$$電場をかけない状態で油滴を落下させ、終端速度 \(v\) を測定します。ストークスの法則より:
$$6\pi \eta r v = mg = \frac{4}{3}\pi r^3 \rho g$$ここから油滴の半径 \(r\) が求まり、質量 \(m = \frac{4}{3}\pi r^3 \rho\) を計算できます。
極板間隔 $d = 5.0 \times 10^{-3}$ m, 電圧 $V = 400$ V の平行板電場中で、質量 $m = 1.0 \times 10^{-15}$ kg の油滴が静止したとします。電場の大きさは
$$E = \frac{V}{d} = \frac{400}{5.0 \times 10^{-3}} = 8.0 \times 10^4 \text{ V/m}$$重力と静電気力のつりあい $qE = mg$ より
$$q = \frac{mg}{E} = \frac{1.0 \times 10^{-15} \times 9.8}{8.0 \times 10^4} \fallingdotseq 1.23 \times 10^{-19} \text{ C}$$電気素量 $e = 1.6 \times 10^{-19}$ C と比較すると、この油滴の電荷数は
$$n = \frac{q}{e} = \frac{1.23 \times 10^{-19}}{1.6 \times 10^{-19}} \fallingdotseq 0.77$$実測では $q$ は常に $e$ の整数倍となるので、実験誤差を考えると $n = 1$ に相当します。
ミリカンの実験の核心:帯電油滴に働く重力 \(mg\) と静電気力 \(qE\) の釣り合いから電荷 \(q\) を求める。多数の油滴を測定すると、電荷は常に \(e = 1.6 \times 10^{-19}\) C の整数倍になる(電気素量)。