Step 1:終端速度の測定(電場なし)
油滴が等速で落下するとき、重力と粘性抵抗力(ストークスの法則)が釣り合います。
$$mg = 6\pi \eta r v$$油滴の質量は \(m = \frac{4}{3}\pi r^3 \rho\) なので代入すると
$$\frac{4}{3}\pi r^3 \rho g = 6\pi \eta r v$$$r$ について解くと
$$r = \sqrt{\frac{9\eta v}{2\rho g}}$$これで油滴の半径 $r$ → 質量 $m = \frac{4}{3}\pi r^3 \rho$ が求まります。
Step 2:電場による静止
電圧 \(V\)、極板間距離 \(d\) のとき、電場 $E = V/d$。静止条件は
$$qE = mg \quad \Rightarrow \quad q \cdot \frac{V}{d} = mg$$$q$ について解くと
$$q = \frac{mgd}{V}$$油滴は非常に小さい(半径 \(\sim 1 \, \mu\mathrm{m}\))ため、直接質量を測れません。ストークスの法則を使えば、終端速度の測定だけで半径(→質量)が求まります。ストークスの法則は、レイノルズ数が非常に小さい(層流)場合に成立します。
油滴が終端速度 $v_t = 1.0 \times 10^{-4}$ m/s で落下するとします。半径 $a$ の油滴に対する空気抵抗(ストークスの法則)と重力のつりあいから質量が決まります。油滴半径を $a = 1.0 \times 10^{-6}$ m、密度 $\rho = 900$ kg/m³ とすると質量は
$$m = \frac{4}{3}\pi a^3 \rho = \frac{4}{3}\pi \times (1.0\times10^{-6})^3 \times 900 \fallingdotseq 3.77 \times 10^{-15} \text{ kg}$$極板間隔 $d = 1.0 \times 10^{-2}$ m, 静止させる電圧 $V = 230$ V のとき、電場は $E = V/d = 2.3 \times 10^4$ V/m。電荷は
$$q = \frac{mg}{E} = \frac{3.77 \times 10^{-15} \times 9.8}{2.3 \times 10^4} \fallingdotseq 1.60 \times 10^{-18} \text{ C}$$電気素量で割ると
$$n = \frac{q}{e} = \frac{1.60 \times 10^{-18}}{1.6 \times 10^{-19}} = 10$$油滴には 10 個の電子が付着しているとわかります。
ミリカンの実験の手順:(1) 自由落下で終端速度 → 油滴半径 → 質量 \(m\) を求める。(2) 電場で静止 → \(q = mgd/V\) で電荷量を求める。多くの油滴で測定すると \(q = ne\)(\(n\) は自然数)となり、電気素量 \(e\) が決定される。