応用問題519 原子核反応

核反応の最小エネルギー

直感的理解
2つの正に帯電した原子核を近づけるには、クーロン反発力に逆らって仕事をする必要があります。核力が働く距離 $r_0$ まで近づけるための最小エネルギーがクーロン障壁です。

(1) 相対速度が0になるとき、両核の速さを $v$ として運動量保存:

(2) エネルギー保存(距離 $r_0$ まで近づいたとき):

最小エネルギーは $v$ が最小(相対速度0)のとき:

(3) ${}^3_1\text{Li}$ に ${}^1_1\text{H}$ を衝突させる場合:$K = k_0 e^2/r_0 \times 3 \times 8/7$

$k_0 e^2/r_0 = 0.014$ MeV として $K \fallingdotseq 0.014 \times 24/7 = 0.048$ MeV

具体的な計算:半減期 $T_{1/2} = 5730$ 年、初期個数 $N_0 = 1.0 \times 10^{12}$ 個のとき、$t = 11460$ 年後:

$${}^A_Z X \to {}^{A-4}_{Z-2} Y + {}^4_2 \text{He}$$ $$N(t) = N_0 \left(\frac{1}{2}\right)^{t/T_{1/2}}$$ $$E = mc^2 = \Delta m \times (3.0 \times 10^8)^2 \text{ J}$$
答え:
$$K_{\min} = k_0 \frac{Z_1 Z_2 e^2}{r_0} \cdot \frac{m_1 + m_2}{m_2}$$
補足:質量欠損とエネルギー

原子核の質量は構成する陽子・中性子の質量の和よりわずかに小さい(質量欠損 $\Delta m$)。この差が結合エネルギーとして放出されます。

$$E_B = \Delta m \cdot c^2$$
Point

核反応にはクーロン障壁を超えるエネルギーが必要。重心系で考えると、有効エネルギーは入射エネルギーの $m_2/(m_1 + m_2)$ 倍になる。