ベクトルの成分とは、矢印を x 軸方向と y 軸方向に分けたときの各方向の大きさ。座標軸に「影を落とす」イメージで、終点の座標がそのまま成分になる。
ベクトル \(\vec{a}\) の始点が原点 O、終点が点 \((4,\;3)\) のとき:
$$ a_x = 4,\quad a_y = 3 $$大きさ(参考):
$$ |\vec{a}| = \sqrt{a_x^2 + a_y^2} = \sqrt{4^2 + 3^2} = \sqrt{25} = 5 $$x 軸となす角 \(\theta\)(参考):
$$ \tan\theta = \frac{a_y}{a_x} = \frac{3}{4} \quad \Rightarrow \quad \theta \fallingdotseq 36.9° $$原点始点のベクトルの場合、終点の座標 = ベクトルの成分。これは最もシンプルな場合。
始点が原点でないとき(例: 始点 \(A(1,2)\)、終点 \(B(5,5)\))は:
$$ \vec{AB} = (5-1,\; 5-2) = (4,\; 3) $$終点の座標から始点の座標を引く。
物理での応用例:力 \(\vec{F}\) の始点が原点、終点が \((4.0,\; 3.0)\) のとき、\(F_x = 4.0\) N、\(F_y = 3.0\) N。力の大きさは \(|\vec{F}| = \sqrt{4.0^2 + 3.0^2} = 5.0\) N。質量 2.0 kg の物体にこの力を加えると、加速度の大きさは \(a = F/m = 5.0/2.0 = 2.5\) m/s² となる。
原点始点のベクトルでは、終点の座標 = 成分。グラフから読み取れる。
左方向(x の負の方向)を向く成分がある場合、x 成分は負の値になる。グラフで y 軸の左側にある終点は x 成分が負。
終点が \((-3,\;2)\) にあるので、そのまま読み取る:
$$ a_x = -3,\quad a_y = 2 $$大きさ:
$$ |\vec{a}| = \sqrt{(-3)^2 + 2^2} = \sqrt{9 + 4} = \sqrt{13} \fallingdotseq 3.61 $$x 軸の正方向からの角度:
$$ \theta = 180° - \arctan\!\left(\frac{2}{3}\right) \fallingdotseq 180° - 33.7° = 146.3° $$| 象限 | x 成分 | y 成分 |
|---|---|---|
| 第1 | + | + |
| 第2 | - | + |
| 第3 | - | - |
| 第4 | + | - |
成分は符号付きの値。向きの情報を含むので、正負に注意して読み取ること。
角度付きのベクトルは、直角三角形を描いて三角比で x・y 成分を求める。斜辺が大きさ、底辺が x 成分、高さが y 成分。
大きさ \(|\vec{a}| = 4\),x 軸正方向からの角度 \(\theta = 60°\) のベクトルの成分を三角比で求める。
成分の公式:
$$ a_x = |\vec{a}|\cos\theta,\quad a_y = |\vec{a}|\sin\theta $$数値を代入:
$$ a_x = 4\cos 60° = 4 \times \frac{1}{2} = 2 $$ $$ a_y = 4\sin 60° = 4 \times \frac{\sqrt{3}}{2} = 2\sqrt{3} $$\(60°\) の直角三角形の3辺の比は \(1 : 2 : \sqrt{3}\)(短辺 : 斜辺 : 長辺)。
斜辺(ベクトルの大きさ)が 4 なので:
$$ \text{短辺}(\text{x 成分}) = \frac{4}{2} \times 1 = 2 $$ $$ \text{長辺}(\text{y 成分}) = \frac{4}{2} \times \sqrt{3} = 2\sqrt{3} $$三角比を暗記していなくても、辺の比を覚えていれば求められる。
成分 = 大きさ × 三角比:\(a_x = |\vec{a}|\cos\theta\),\(a_y = |\vec{a}|\sin\theta\)。物理で力の分解・速度の分解に多用する。
\(45°\) は x と y が等しくなる特別な角度。斜辺に対して両方の成分が同じ大きさ (\(\frac{1}{\sqrt{2}}\) 倍) になる。
大きさ \(|\vec{a}| = 2\sqrt{2}\),角度 \(\theta = 45°\) のとき:
$$ a_x = 2\sqrt{2}\,\cos 45° = 2\sqrt{2} \times \frac{1}{\sqrt{2}} = 2 $$ $$ a_y = 2\sqrt{2}\,\sin 45° = 2\sqrt{2} \times \frac{1}{\sqrt{2}} = 2 $$検算:大きさを逆算する:
$$ |\vec{a}| = \sqrt{2^2 + 2^2} = \sqrt{8} = 2\sqrt{2} \quad \checkmark $$\(45°\)-\(45°\)-\(90°\) の直角三角形の辺の比は \(1 : 1 : \sqrt{2}\)。
斜辺 \(= 2\sqrt{2}\) なので:
$$ \text{各辺} = \frac{2\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = 2 $$\(45°\) では常に x 成分 = y 成分になる。斜面上の重力分解(\(45°\) 斜面)などでよく出る。
\(45°\) では \(\cos 45° = \sin 45° = \frac{1}{\sqrt{2}}\) なので、x 成分と y 成分が等しくなる。検算に「成分から大きさを逆算」が有効。