例題18 斜面上の運動

設問(1) 斜面上の加速度

直感的理解
なめらかな斜面上の物体には、斜面方向に重力の分力 $mg\sin\theta$ だけがはたらきます。この力は常に斜面下向きなので、上昇中は減速し、下降中は加速します。しかし加速度の大きさはどちらも同じ $g\sin\theta$ です。斜面が急になるほど加速度は大きくなります。

Step 1:力の確認

なめらかな斜面なので摩擦力なし。物体にはたらく力は重力 $mg$ と垂直抗力 $N$ の2力。

Step 2:座標設定

斜面に平行な方向(上向きを正)と垂直な方向に分解します。初速度の向きを正にとると加速度 $a$ とおきます。

Step 3:運動方程式

斜面に垂直方向:$N = mg\cos\theta$(つりあい)

斜面に平行方向(上向き正):

上昇中も下降中も、加速度は斜面方向下向きに $4.9\,\text{m/s}^2$ です。

答え:
$$a = 4.9\,\text{m/s}^2\text{(斜面方向下向き)}$$ 上昇中・下降中とも加速度の大きさと向きは同じ。
Point

なめらかな斜面上では加速度は $g\sin\theta$(斜面下向き)。上昇・下降に関わらず一定。

設問(2) 最高点 P までの距離 $d$

直感的理解
最高点では物体が一瞬停止します。つまり $v = 0$ になる地点が最高点 P です。初速度と加速度がわかっているので、等加速度運動の公式 $v^2 - v_0^2 = 2ax$ を使って距離を求められます。

方針:最高点 P では速度 $v = 0$。$v_0 = 9.8\,\text{m/s}$、$a = -4.9\,\text{m/s}^2$ を使います。

立式:$v^2 - v_0^2 = 2ax$ を利用します。P では $v = 0$、$x = d$ なので:

答え:
$$d = 9.8\,\text{m}$$
別解:エネルギー保存による方法

なめらかな斜面なので力学的エネルギーが保存されます。A を基準として:

$$\frac{1}{2}mv_0^2 = mgd\sin\theta$$ $$d = \frac{v_0^2}{2g\sin\theta} = \frac{9.8^2}{2 \times 9.8 \times 0.5} = \frac{96.04}{9.8} = 9.8\,\text{m}$$

数値計算:例えば \(v_0 = 0\) m/s、\(a = 2.0\) m/s²、\(t = 3.0\) s のとき:

$$v = v_0 + at = 0 + 2.0 \times 3.0 = 6.0 \text{ m/s}$$ $$x = v_0 t + \frac{1}{2}at^2 = 0 + \frac{1}{2} \times 2.0 \times 3.0^2 = 9.0 \text{ m}$$
Point

最高点では $v = 0$。等加速度運動の公式 $v^2 - v_0^2 = 2ax$ を使うと時間を経由せずに距離が求まる。