例題21 浮力

糸の張力 $T$ を求める

直感的理解
液体中に沈めた物体には、重力と反対向きに浮力がはたらきます。浮力は「物体が押しのけた液体の重さ」に等しい(アルキメデスの原理)。糸の張力は「重力から浮力を引いた分」を補う役割です。液体の密度が鉄球に近づくほど浮力が大きくなり、張力は小さくなります。スライダーで密度比を変えると、力のバランスが変わる様子が確認できます。

Step 1:鉄球にはたらく力

Step 2:浮力の計算

鉄球の体積を $V\,[\text{m}^3]$ とおくと、アルキメデスの原理より:

$$ F = \rho_0 V g $$

鉄球の体積は $V = m/\rho$ なので:

$$ F = \rho_0 \cdot \frac{m}{\rho} \cdot g = \frac{\rho_0}{\rho} mg $$

Step 3:力のつりあい

鉄球は静止しているので、鉛直方向の力がつりあいます:

$$ T + F = mg $$ $$ T = mg - F = mg - \frac{\rho_0}{\rho}mg = \left(1 - \frac{\rho_0}{\rho}\right)mg $$
答え:
$$T = \left(1 - \frac{\rho_0}{\rho}\right)mg\,[\text{N}]$$
補足:特別な場合の確認

$\rho_0 = 0$(真空中)のとき:$T = mg$。浮力なしで、張力は重力と等しい。

$\rho_0 = \rho$(同じ密度)のとき:$T = 0$。浮力と重力がつりあい、糸を引く力は不要。

$\rho_0 > \rho$ のとき:$T < 0$ つまり糸は下向きに引かなければならない。物体は浮き上がろうとする。

これらの極端な場合で式が正しく振る舞うことを確認することは、答えの検算として有効です。

補足:アルキメデスの原理

アルキメデスの原理:流体中の物体は、それが排除している流体の重さに等しい大きさの浮力を受ける。

$$F = \rho_0 V g$$

ここで $\rho_0$ は流体の密度、$V$ は物体が排除した流体の体積(=物体が沈んでいる部分の体積)、$g$ は重力加速度。

物体が完全に沈んでいれば $V$ は物体全体の体積、一部だけ沈んでいれば沈んでいる部分の体積です。

Point

浮力 $F = \rho_0 V g$(排除した流体の重さ)。液体中の物体に作用する力のつりあいから張力を求める。体積が直接与えられていないときは $V = m/\rho$ で変換する。