問題85 熱力学第一法則

解説

直感的理解
断熱膨張では気体が外部に仕事をしますが、外から熱の供給がありません。仕事に使うエネルギーは気体の内部エネルギーから賄うので、気体の温度が下がります。スプレー缶を使うと缶が冷たくなるのと同じ原理です。

(1) 外部からされた仕事

気体が外部に $W' = 20$ J の仕事をした。気体が「された」仕事は符号が逆:

$$ W = -W' = -20 \;\text{J} $$

(2) 内部エネルギーの変化

断熱変化なので $Q = 0$。熱力学第一法則 $\Delta U = Q + W$ より:

$$ \Delta U = 0 + (-20) = -20 \;\text{J} $$

内部エネルギーは 20 J 減少(温度が下がる)。

答え:
(1) \(W = -20\) J(気体がされた仕事は −20 J)
(2) 内部エネルギーは 20 J 減少した(\(\Delta U = -20\) J)
補足:断熱膨張の応用

断熱膨張で気体が冷えることを利用した例:

  • スプレー缶の噴射 → 缶が冷える
  • 上昇気流による雲の生成 → 空気が膨張して冷え、水蒸気が凝結
  • 冷蔵庫のしくみ → 冷媒が膨張して低温になる

数値計算:質量 \(m = 2.0\) kg、加速度 \(a = 3.0\) m/s² のとき:

$$F = ma = 2.0 \times 3.0 = 6.0 \text{ N}$$ $$W = mg = 2.0 \times 9.8 = 19.6 \text{ N}$$
Point

気体がした仕事 \(W'\) と気体がされた仕事 \(W\) は符号が逆:\(W = -W'\)。断熱膨張では \(\Delta U = W = -W' < 0\) で温度が下がる。