117 正弦波の反射

解法の全体像

直感的理解
ロープの端を壁に固定して揺らすと、波が壁で跳ね返って戻ってきます。固定端では壁が動かないので変位は常にゼロ(節)。戻ってきた反射波ともとの入射波が重なると、動かない点(節)と大きく振れる点(腹)が交互に並ぶ「定在波」ができます。

ある媒質中を $x$ 軸の負の向き(左向き)に進む正弦波が、原点を固定端として反射する問題です。 $t = 0$ s での入射波のグラフから波の基本量を読み取り、反射波との干渉で生じる定在波(定常波)の性質を求めます。

入射波・反射波・定在波のシミュレーション

問題の初期状態($t = 0$)から始まり、再生ボタンを押すと入射波(青)が固定端に向かって進み、壁で反射した反射波(赤)が右へ広がっていく様子を確認できます。合成波(緑)は反射波が届いた領域で定在波として現れます。チェックボックスで表示の切り替えが可能です。

Point

固定端反射では入射波と反射波が干渉して定在波ができる。グラフから基本量を読み、波形のずれ・節・腹の位置を押さえる流れで解く。

(1) 振幅・波長・速さ・振動数・周期

直感的理解
$y$-$x$ グラフは「ある瞬間の写真」です。写真から山の高さ(振幅)と山―山の間隔(波長)を読み取れます。さらに、ある山が時間とともにどれだけ移動したかを知れば速さがわかり、$v = f\lambda$ と $T = 1/f$ で振動数と周期も芋づる式に求まります。

考え方

$t = 0$ s の入射波のグラフから、次の情報を読み取ります。

振幅:グラフの変位の最大値から $$ A = 1.0 \text{ cm} $$

波長:山と山(または谷と谷)の間隔から $$ \lambda = 4.0 \text{ cm} $$

速さ:山Aは $t = 0$ で $x = 6.0$ cm の位置にあり、$0.60$ s 後に $x = 3.0$ cm の位置まで進みます。移動距離は $6.0 - 3.0 = 3.0$ cm なので $$ v = \frac{3.0}{0.60} = 5.0 \text{ cm/s} $$

振動数と周期:$v = f\lambda$ より $$ f = \frac{v}{\lambda} = \frac{5.0}{4.0} = 1.25 \fallingdotseq 1.3 \text{ Hz} $$ $$ T = \frac{1}{f} = \frac{1}{1.25} = 0.80 \text{ s} $$

答え:
振幅 $A = 1.0$ cm、波長 $\lambda = 4.0$ cm、速さ $v = 5.0$ cm/s、振動数 $f = 1.3$ Hz、周期 $T = 0.80$ s
Point

グラフから振幅 $A$ と波長 $\lambda$ を読み、「山が進んだ距離÷かかった時間」で速さ $v$ を求める。$v = f\lambda$ と $T = 1/f$ で振動数・周期を出す。

(2) $t = 0.40$ s の入射波の $y$-$x$ 図

直感的理解
波は「形を保ったまま進む」ので、別の時刻の波形を描くには、$t = 0$ の写真をそのまま進行方向にスライドさせるだけです。左向きに進む波なら、左にずらします。

考え方

波は「形を保ったまま」進みます。入射波は $x$ 軸の負の向き(左向き)に速さ $v = 5.0$ cm/s で進むので、$t = 0.40$ s のあいだに $$ \text{進んだ距離} = v \times t = 5.0 \times 0.40 = 2.0 \text{ cm} $$ だけ左に動きます。だから、$t = 0$ の波形をそのまま左に $2.0$ cm ずらしたグラフが、$t = 0.40$ s の入射波です。

ずらすと:固定端の $x = 0$ の位置には、$t = 0$ のとき $x = 2$ にあった「山」が来ます($y = 1$)。$x = 2$ には $t = 0$ のとき $x = 4$ にあった「谷」が来るので $y = -1$。$x = 4$ には次の「山」で $y = 1$ … というように、波長 $\lambda = 4$ cm の繰り返しになります。上の図で、灰色の破線($t = 0$)と青い実線($t = 0.40$ s)を比べて確認してください。

答え:
$t = 0$ の波形を左に $2.0$ cm ずらしたグラフ。
$x = 0$ で $y = 1$(山)、$x = 2$ で $y = -1$(谷)、$x = 4$ で $y = 1$(山)…(上の図参照)
別解:三角関数で表すと

$t = 0$ の入射波を三角関数で表すと $y = -\cos\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right)$ なので、$t = 0.40$ s では波形が左に $2.0$ cm ずれた形になり $y = \cos\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right)$ となります。

Point

波は形を保ったまま進むので、ある時刻の $y$-$x$ グラフは $t = 0$ のグラフを進行方向に $vt$ だけずらすだけでよい。左向きなら左にずらす。

(3) 入射波と反射波の干渉による定在波

直感的理解
固定端では壁が動かないので、必ず変位ゼロ(節)になります。そこから半波長ごとに節、その中間に腹が並ぶのが定在波のパターンです。腹では入射波と反射波が同じ向きに振れるため、振幅が2倍になります。

原点($x = 0$)は固定端なので、ここでは媒質が動けず、変位は常に $0$ です。つまり固定端はです。入射波と反射波が重なり合うと定在波(定常波)ができ、節と腹が一定の位置に並びます。

物理基礎でよく使うきまりは次の2つです。
固定端は必ず節になる。
隣り合う節どうしの間隔は $\dfrac{\lambda}{2}$、節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$ である。

この問題では $\lambda = 4.0$ cm なので、$\dfrac{\lambda}{2} = 2.0$ cm、$\dfrac{\lambda}{4} = 1.0$ cm です。固定端 $x = 0$ が節だから、次の節は $x = 2.0$ cm、その次は $x = 4.0$ cm …。腹は節と節のまん中なので、$x = 1.0$ cm、$x = 3.0$ cm … となります。

別解:三角関数で定在波の式を導く

入射波と反射波を三角関数で表し、重ね合わせると合成波は $y = 2\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right)\sin\!\left(\dfrac{5\pi}{2}t\right)$ となります。この式から、節は $\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right) = 0$ となる $x = 0, 2, 4, \ldots$、腹は振幅が最大になる $x = 1, 3, 5, \ldots$ と求まります。

Point

固定端は必ず節。定在波では隣り合う節の間隔は $\dfrac{\lambda}{2}$、節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$ なので、$x = 0$ から順に節・腹の位置が決まる。

(3)(a) $x = 1.0$ cm における $y$-$t$ グラフ

直感的理解
$x = 1.0$ cm は腹なので、反射波が届いた後は入射波の2倍の振幅で振動します。ただし反射波が届くまでは入射波だけなので振幅は $A$ のまま。「途中から振幅が倍になる」という2段階のグラフになるのがポイントです。

考え方

$x = 1.0$ cm は定在波のです。ただし、$t = 0$ の時点ではまだ反射波が $x = 1.0$ cm に届いていないので、$t = 0.40$ s まではまだ入射波しか来ておらず、振幅は $1.0$ cm です。

$t = 0.40$ s($= T/2$)以降は反射波が重なり合い、定在波の腹として振れ幅が入射波の 2倍($2A = 2.0$ cm)になります。振動の周期は、もとの波の周期と同じ $T = 0.80$ s です。

具体的には、$t = 0$ で $y = 0$、$t = 0.20$ s($T/4$)で $y = +1.0$ cm、$t = 0.40$ s($T/2$)で $y = 0$。ここから反射波と合成されるので、$t = 0.60$ s($3T/4$)で $y = -2.0$ cm、$t = 0.80$ s($T$)で $y = 0$、$t = 1.00$ s で $y = +2.0$ cm … というグラフになります(下の図参照)。

答え:
$t = 0$ ~ $0.40$ s は入射波のみで振幅 $1.0$ cm、$t = 0.40$ s 以降は定在波の腹として振幅 $2.0$ cm。周期 $T = 0.80$ s。上の図参照。
別解:三角関数で表すと

定在波の式に $x = 1.0$ を代入すると $y = 2\sin\!\left(\dfrac{5\pi}{2}t\right)$ となり、振幅 $2.0$ cm・周期 $0.80$ s であることが式からも確認できます。ただしこれは反射波が到達した $t \geq 0.40$ s 以降に成り立つ式です。

Point

反射波が届くまでは入射波のみ(振幅 $A$)。反射波が重なるとの振れ幅は2倍($2A$)になる。周期はもとの波の周期 $T$ と同じ。

(3)(b) 節と腹の位置($x = 0$ ~ $4.0$ cm)

直感的理解
固定端 $x = 0$ が節とわかれば、あとは $\lambda/2$ ごとに節、その中間に腹を置いていくだけです。$\lambda = 4.0$ cm なので節は 0, 2, 4 cm、腹は 1, 3 cm と、等間隔に交互に並びます。

考え方

定在波では、固定端は必ず節です。節と節の間隔は $\dfrac{\lambda}{2}$、節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$ というきまりを使います。

この問題では $\lambda = 4.0$ cm なので、$\dfrac{\lambda}{2} = 2.0$ cm、$\dfrac{\lambda}{4} = 1.0$ cm です。固定端 $x = 0$ が節だから、$x = 0$ から $2.0$ cm ごとに節が並び、節の位置は $x = 0,\ 2.0,\ 4.0$ [cm] です。腹は節と節のまん中(節から $\dfrac{\lambda}{4} = 1.0$ cm の位置)なので、腹の位置は $x = 1.0,\ 3.0$ [cm] です。

答え:
の位置($x$ 座標):$x = 0,\ 2.0,\ 4.0$ [cm]
の位置($x$ 座標):$x = 1.0,\ 3.0$ [cm]
別解:三角関数の式から求める

定在波を $y = 2\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right)\sin\!\left(\dfrac{5\pi}{2}t\right)$ と表すと、節は $\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right) = 0$ より $x = 2n$($n = 0, 1, 2, \ldots$)、腹は振幅が最大になる $x = 1 + 2n$ と求まります。

補足:なぜ固定端は必ず節になるのか

固定端では、壁に固定されているので媒質が動けません。つまり変位はいつでも $0$。変位が常に $0$ の点が「節」なので、固定端は必ず節になります。逆に、端が自由に動ける「自由端」では、そこが腹になります。

定在波では、隣り合う節の間隔は $\dfrac{\lambda}{2}$、節と腹の間隔は $\dfrac{\lambda}{4}$ と覚えておくと、グラフや図から節・腹の位置をすぐに書けます。

Point

固定端 $x = 0$ が節なので、$\dfrac{\lambda}{2} = 2.0$ cm ごとに節($x = 0,\ 2.0,\ 4.0$)。腹は節と節のまん中(節から $\dfrac{\lambda}{4} = 1.0$ cm)で $x = 1.0,\ 3.0$。