教科書(物理) 問11:重心(くり抜き円板)

解法

直感的理解

くり抜いた側が軽くなるので、残りの重心はくり抜いた側と反対方向に移動します。くり抜く部分は全体の面積の 1/4 なので、重心のずれは比較的小さく \(r/6\) です。

(1) a, b それぞれの重心位置

一様な円板の重心はその幾何学的中心にあるので:

$$\text{全体の円板 a(半径 } r \text{)の重心:中心 } O_1$$ $$\text{くり抜いた小円板 b(半径 } \tfrac{r}{2} \text{)の重心:中心 } O_2$$
答え (1)
a の重心は O₁、b の重心は O₂

(2) 残りの部分の重心

Step 1:各部分の質量を求める

面積密度を \(\sigma\) とすると:

$$m_a = \sigma \pi r^2, \quad m_b = \sigma \pi \left(\frac{r}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} m_a$$ $$m_{\text{残}} = m_a - m_b = \frac{3}{4} m_a$$

Step 2:重心の条件式を立てる

O₁ を原点、O₁→O₂ 方向を正とします。全体の重心は O₁(原点)なので:

$$m_a \times 0 = m_{\text{残}} \times x_G + m_b \times \frac{r}{2}$$

Step 3:\(x_G\) を求める

$$0 = \frac{3}{4}m_a \cdot x_G + \frac{1}{4}m_a \cdot \frac{r}{2}$$ $$\frac{3}{4} x_G = -\frac{1}{4} \cdot \frac{r}{2} = -\frac{r}{8}$$ $$x_G = -\frac{r}{8} \times \frac{4}{3} = -\frac{r}{6}$$

例えば r = 0.30 m のとき、ずれは 0.30 × 1/6 = 0.050 m = 5.0 cm です。

答え (2)
O₁ から \(\dfrac{r}{6}\) だけ O₂ と反対側
補足:一般的なくり抜き問題の公式

半径 \(R\) の円板から、中心から距離 \(d\) の位置に半径 \(a\) の穴を開けた場合:

$$x_G = -\frac{a^2 d}{R^2 - a^2}$$

今回 \(R = r,\; a = r/2,\; d = r/2\) を代入すると:

$$x_G = -\frac{(r/2)^2 \cdot (r/2)}{r^2 - (r/2)^2} = -\frac{r^3/8}{3r^2/4} = -\frac{r}{6}$$

一般公式と一致することが確認できます。スライダーでくり抜き半径を変えて、重心位置がどう変わるか試してみましょう。

Point

全体 = 残り + くり抜き」の関係を使い、くり抜き部分を正の質量として扱って重心を逆算するのがこの手法のポイント。穴あき物体の重心問題は入試頻出です。