偶力は「合力は 0(物体を動かさない)だが、回転はさせる」力です。ドアノブを回すとき、指が挟む2点で逆向きの力を加えています。2力の間隔(ドアノブの直径)が大きいほど、同じ力でも回転モーメントが大きくなります。大きなドアノブは小さな力で回せるのはこのためです。
ドアノブの直径 $l = 7.0\,\text{cm} = 0.070\,\text{m}$ の両端に、大きさ $F = 20\,\text{N}$ の逆向きの平行力がはたらいています。
この2力は偶力です。偶力のモーメントの公式:
$$ M = F \times l $$ここで $F = 20\,\text{N}$、$l = 0.070\,\text{m}$(2力の作用線間の距離 = ドアノブの直径)を代入すると:
$$ M = 20 \times 0.070 = 1.4 \text{ N·m} $$任意の点 P を基準にとり、一方の力の作用点までの距離を $d$ とすると:
$$M_P = F \times d - F \times (d - l) = F \times d - F \times d + F \times l = Fl$$$d$ が消えるため、偶力のモーメントはどの点を基準にしても $M = Fl$ で一定です。これは偶力の重要な性質です。
偶力の $l$ は「2力の作用線間の距離」です。力の大きさは等しいので「どちらか一方の力 × 距離」で計算します。偶力は合力が 0 なのに回転効果だけを持つ特殊な力の組み合わせ——これが「力のモーメント」と「力」が独立した概念である証拠です。