教科書(物理) 演習問題1:壁に立てかけた棒のつりあい

設問(1) 糸の張力 T

直感的理解

A端をモーメントの基準に選ぶと、$F_A$(ちょうつがいの力)のモーメントはゼロになります。残るのは重力 $mg$ のモーメント(時計回り)と糸の張力 $T$ のモーメント(反時計回り)だけ。棒が30°の角度なので、うでの長さの計算に三角関数を使います。

A端まわりのモーメントのつりあい(反時計回りを正):

重力 $mg$ のうでの長さ:$\dfrac{l}{2}\cos 30°$

張力 $T$(水平左向き)のうでの長さ:$l\sin 30°$

$$T \cdot l\sin 30° = mg \cdot \frac{l}{2}\cos 30°$$ $$T = \frac{mg \cos 30°}{2\sin 30°} = \frac{mg \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}}{2 \cdot \frac{1}{2}} = \frac{\sqrt{3}}{2}mg$$
答え (1)
$$T = \frac{\sqrt{3}}{2}mg$$
Point

ちょうつがい(回転軸)をモーメントの基準に選ぶと、ちょうつがいの力のモーメントが 0 になり、未知数が $T$ だけの式が得られます。

設問(2) ちょうつがいの力 F_A

直感的理解

棒にはたらく力は $mg$(下向き)、$T$(水平左向き)、$F_A$(未知)の3つです。全体がつりあうので、$F_A$ は $mg$ と $T$ の合力を打ち消す方向にはたらきます。水平成分は $T$ を打ち消し、鉛直成分は $mg$ を打ち消します。

水平方向のつりあい:

$$F_{Ax} = T = \frac{\sqrt{3}}{2}mg \quad \text{(右向き)}$$

鉛直方向のつりあい:

$$F_{Ay} = mg \quad \text{(上向き)}$$

数値計算の確認:質量 0.50 kg の物体が速度 4.0 m/s で運動するとき、運動量は \(0.50 \times 4.0 = 2.0\) kg·m/s。力 100 N が 0.020 s 間作用すると力積は \(100 \times 0.020 = 2.0\) N·s です。

答え (2)

ちょうつがいの力 $\vec{F_A}$ は:

補足:F_A の合力の大きさと方向

合力の大きさ:$F_A = \sqrt{F_{Ax}^2 + F_{Ay}^2} = \sqrt{\left(\frac{\sqrt{3}}{2}mg\right)^2 + (mg)^2} = \frac{\sqrt{7}}{2}mg$

水平となす角:$\tan\phi = \dfrac{F_{Ay}}{F_{Ax}} = \dfrac{mg}{\frac{\sqrt{3}}{2}mg} = \dfrac{2}{\sqrt{3}} = \dfrac{2\sqrt{3}}{3}$

Point

ちょうつがいの力は方向が不明なので、水平成分と鉛直成分に分けて求めます。モーメントの式で他の未知数を先に求めてから、力のつりあいで $F_A$ の成分を求める手順が定石です。