斜面上の直方体は、重心からの鉛直線が底面の斜面下側の端を通るときに転倒し始めます。底面幅 $a = 0.16$ m、高さ $h = 0.12$ m のとき、$\tan\theta_0 = a/h$ から転倒角が求まります。$\sin\theta_0$ は三角関数の関係から導けます。
転倒条件:$\tan\theta_0 = \dfrac{a}{h} = \dfrac{0.16}{0.12} = \dfrac{4}{3}$
$\sin\theta_0$ を求めるには、$\tan\theta_0 = 4/3$ から直角三角形を作ります:
斜辺 $= \sqrt{a^2 + h^2} = \sqrt{0.16^2 + 0.12^2} = \sqrt{0.0256 + 0.0144} = \sqrt{0.04} = 0.20$ m
$$\sin\theta_0 = \frac{a}{\sqrt{a^2 + h^2}} = \frac{0.16}{0.20} = 0.80$$$\tan\theta$ が与えられたら、$\sin\theta$ や $\cos\theta$ は三角比の関係 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ と $\tan\theta = \sin\theta/\cos\theta$ から求められます。$\tan\theta = a/h$ のとき、斜辺 $\sqrt{a^2 + h^2}$ を使うのが最も簡単です。
斜面を傾けていくと「滑り出す」か「倒れる」かのどちらかが先に起こります。滑り出す条件は $\tan\theta = \mu$、倒れる条件は $\tan\theta = a/h$ です。$\mu < a/h$ なら滑りが先、$\mu > a/h$ なら転倒が先です。直方体は $a/h = 4/3$ なので、$\mu < 4/3$ なら先に滑ります。
滑り出す角度 $\theta_s$:$\tan\theta_s = \mu$
転倒する角度 $\theta_0$:$\tan\theta_0 = a/h = 4/3$
先に滑り出す条件:$\theta_s < \theta_0$、すなわち $\mu < a/h$
$$\mu < \frac{a}{h} = \frac{4}{3} \fallingdotseq 1.33$$また、先に滑り出す条件を $\mu_0$ で表すと:
$$\mu < \mu_0 = \frac{a}{h} = \frac{4}{3}$$数値計算の確認:質量 0.50 kg の物体が速度 4.0 m/s で運動するとき、運動量は \(0.50 \times 4.0 = 2.0\) kg·m/s。力 100 N が 0.020 s 間作用すると力積は \(100 \times 0.020 = 2.0\) N·s です。
一般的な材質の静止摩擦係数は 0.2〜0.8 程度なので、$a/h = 4/3 \fallingdotseq 1.33$ より小さいことがほとんどです。つまり、この横長の直方体($a > h$)は、通常の面では転倒するより先に滑り出します。逆に $a < h$(縦長の直方体)では $a/h$ が小さくなり、先に転倒しやすくなります。
「滑り vs 転倒」の判定は $\mu$ と $a/h$ の大小比較で即座に答えが出ます。$\mu < a/h$ → 先に滑る、$\mu > a/h$ → 先に倒れる。入試頻出パターンなので確実に使えるようにしましょう。