クレーン車が荷物を持ち上げると、全体の重心が荷物側に移動します。重心の鉛直線が車体の接地範囲(タイヤの設置面)の外に出ると車は倒れます。アウトリガーを横に張り出すことで「支えている面」を広げ、重心がその中にとどまるようにするのが転倒防止の仕組みです。スライダーで荷物の重さを変えて、重心の移動を観察してください。
転倒の条件:車体と荷物の合成重心からの鉛直線が、支持面(接地点で囲まれた領域)の外に出ると転倒します。
アウトリガーの効果:
荷物をつり上げると合成重心が荷物側に移動しますが、アウトリガーで支持面を十分に広げておけば、重心が支持面内にとどまり転倒しません。
合成重心の位置:
$$x_G = \frac{M_{\text{車}} \cdot x_{\text{車}} + M_{\text{荷}} \cdot x_{\text{荷}}}{M_{\text{車}} + M_{\text{荷}}}$$荷物の質量 $M_{\text{荷}}$ が大きいほど、また荷物がクレーンの先端(遠い位置)にあるほど、合成重心は大きくずれます。
数値計算の確認:質量 0.50 kg の物体が速度 4.0 m/s で運動するとき、運動量は \(0.50 \times 4.0 = 2.0\) kg·m/s。力 100 N が 0.020 s 間作用すると力積は \(100 \times 0.020 = 2.0\) N·s です。
アウトリガーを張り出すことで支持面を大幅に広げ、荷物をつり上げても全体の重心からの鉛直線が支持面内にとどまるようにしている。
これにより、重い荷物を遠くに持ち出してもクレーン車が転倒しない。
アウトリガー先端を支点としたモーメントのつりあいから、転倒しない最大荷重が求まります:
$$M_{\text{車}} \cdot d_{\text{車}} = M_{\text{荷}}^{\text{max}} \cdot d_{\text{荷}}$$
$d_{\text{車}}$:アウトリガー先端から車体重心までの距離、$d_{\text{荷}}$:アウトリガー先端から荷物までの距離
$$M_{\text{荷}}^{\text{max}} = M_{\text{車}} \times \frac{d_{\text{車}}}{d_{\text{荷}}}$$
クレーンアームを長く伸ばす($d_{\text{荷}}$ を大きくする)ほど、つり上げ可能な最大荷重は小さくなります。これがクレーン車の「作業半径と最大荷重の関係表」の根拠です。
同じ原理は多くの場面で使われています:
「支持面を広げる」と「重心を低く保つ」は転倒防止の2大原則です。アウトリガーは前者の典型例です。実際の作業では、クレーンのアーム角度・荷重・作業半径に応じて転倒限界が変わるため、必ず安全率を含めた計算が行われます。