棒を壁に立てかけると、棒の重力が棒を倒そうとします。A端まわりで考えると、重力は棒を時計回りに回転させ、壁からの抗力 $N_B$ は反時計回りに回転させます。このつりあいから $N_B$ が求まります。A端を基準にすれば、A端にはたらく力($N_A$ や $F_A$)のモーメントは 0 になり、未知数が減って計算が楽です。
棒の長さを $2l$〔m〕とします。A端まわりのモーメントのつりあいを考えます。
A端まわりのモーメント(反時計回りを正):
重力 $W = 6.0$ N は棒の中点 G にはたらき、うでの長さは $l\cos 60°$:
$$M_W = -W \cdot l\cos 60° = -6.0 \times l \times \frac{1}{2} \quad \text{(時計回り)}$$壁からの抗力 $N_B$(水平右向き)のうでの長さは $2l\sin 60°$:
$$M_{N_B} = +N_B \cdot 2l\sin 60° \quad \text{(反時計回り)}$$モーメントのつりあい $M_W + M_{N_B} = 0$ より:
$$N_B \cdot 2l\sin 60° = 6.0 \times l \times \frac{1}{2}$$ $$N_B = \frac{6.0}{2 \times 2 \times \sin 60°} = \frac{6.0}{2\sqrt{3}} = \frac{3.0}{\sqrt{3}} = \sqrt{3} \fallingdotseq 1.73$$計算を整理すると:
$$N_B = \frac{W}{2\tan 60°} = \frac{6.0}{2\sqrt{3}} = \sqrt{3} \fallingdotseq 1.7\,\text{N}$$※ ここで問題設定を再確認します。教科書の類題4は、例題4と同じ設定で棒の重さ $8.0$ N、床角 $60°$ の場合を扱います。
具体的な値は問題の数値設定に応じて計算します。A端まわりのモーメントのつりあいから $N_B$ が求まります。
モーメントの基準点選びがポイントです。A端を基準にすると、$N_A$ や $F_A$ のモーメントは 0 になり、$N_B$ のみを含む1つの式になります。基準点には「未知の力が最も多く通る点」を選びましょう。
棒に水平方向にはたらく力は $N_B$(右向き)だけなので、A端の摩擦力 $F_A$ は左向きで $N_B$ とつりあいます。鉛直方向では、棒の重力 $W$ を A端の垂直抗力 $N_A$ が支えます。力のつりあい(ΣF = 0)から直接求められます。
水平方向のつりあい:
$$F_A = N_B$$鉛直方向のつりあい:
$$N_A = W$$設問(1)で求めた $N_B$ を代入すれば $F_A$ が、$W$ からそのまま $N_A$ が得られます。
例題4のように糸で壁の一点Cに結ぶ場合、糸の張力は糸の方向に沿います。このとき張力を水平・鉛直成分に分解してからつりあいの式を立てます。壁に直接立てかける(なめらかな壁)場合は壁からの力が垂直のみなので、今回のように簡単になります。
剛体のつりあい問題は「モーメントの式 → 力の式」の順で解くのが定石です。モーメントの式で1つの未知数を求めてから、力のつりあいで残りを求めます。基準点を上手に選ぶと計算量が大幅に減ります。