斜面上の直方体は、重力が常に鉛直下向きにはたらくため、斜面が傾くほど重力の作用線(鉛直線)が底面の斜面下側にずれます。底面の端を超えた瞬間、物体は転倒します。底面が広い($a$ が大きい)ほど超えにくく、高さが高い($h$ が大きい)ほど超えやすくなります。
斜面の角度を $\theta$ とします。重心 G を通る鉛直線が底面の斜面下側の端 A をちょうど通るとき、直方体は傾き始めます。
重心 G は直方体の中心にあるため、底面の中央から鉛直方向に高さ $h/2$ の位置です。幾何学的に:
斜面上の転倒条件 $\tan\theta = a/h$ と滑り出し条件 $\tan\theta = \mu$ を比較しましょう。$\mu < a/h$ なら先に滑り、$\mu > a/h$ なら先に倒れます。摩擦の大きい面では倒れやすく、滑りやすい面では滑り出します。
転倒条件 $\tan\theta = a/h$ から、$a/h$ が小さいほど(底面が狭く、高さが高いほど)小さな角度で倒れます。背の高い家具が地震で倒れやすいのは、$a/h$ が小さいからです。
$\tan\theta_c = a/h$ を満たす角 $\theta_c$ が倒れ始める臨界角です。
数値例:質量 2.0 kg の物体に 10 N の力を加えると、加速度は \(a = F/m = 10/2.0 = 5.0\) m/s² です。\(3.0\) s 後の速度は \(v = at = 5.0 \times 3.0 = 15\) m/s となります。
関連する基本公式:
$$ F = ma $$ $$ v = v_0 + at $$重心の位置が高い($a$ が小さく $h$ が大きい)方が倒れやすい。
地震対策で家具を固定する理由は、背の高い家具(本棚、食器棚、冷蔵庫など)の $a/h$ が小さく、わずかな揺れで転倒条件を満たしてしまうからです。L字金具で壁に固定するのは、実質的に支持面を壁まで広げている($a$ を大きくしている)のと同じ効果があります。
転倒しにくくするには「底面を広く、重心を低く」が原則です。レーシングカーが車高を低くし車幅を広くするのも、コーナリング時の転倒を防ぐためです。