粘土の球が衝突してくっつく場合、運動量は保存されますが運動エネルギーは熱や音に変わって減少します。運動量は向きを含む和が一定なので、個々の速さが変わっても成立。一方、運動エネルギーは \(v^2\) に比例するスカラーなので衝突で必ず減少(\(e < 1\) のとき)。
運動量と運動エネルギーの比較:
| 運動量 \(\vec{p}\) | 運動エネルギー \(K\) | |
|---|---|---|
| 定義 | \(m\vec{v}\) | \(\frac{1}{2}mv^2\) |
| 種類 | ベクトル量 | スカラー量 |
| 保存条件 | 外力なしで常に保存 | 弾性衝突(\(e=1\))のみ保存 |
| 衝突での変化 | 変化なし | \(e < 1\) で減少 |
エネルギー損失の公式:
2物体の直線上の衝突で失われる運動エネルギーは:
$$ \Delta K = \frac{1}{2}\frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}(v_1 - v_2)^2(1 - e^2) $$\(e = 1\) なら \(\Delta K = 0\)(エネルギー損失なし)、\(e = 0\) なら損失最大。
数値例:質量 0.50 kg のボールが速さ 20 m/s で飛んできて跳ね返る場合、運動量変化は \(\Delta p = 0.50 \times 20 - 0.50 \times (-20) = 10 + 10 = 20\) kg·m/s。接触時間が 0.010 s なら平均の力は \(F = 20/0.010 = 2000\) N です。
質量 \(m\) の球が速度 \(v\) で静止した質量 \(m\) の球に衝突し合体(\(e=0\))する場合:
$$ V = \frac{mv}{2m} = \frac{v}{2} $$ $$ K_{\text{前}} = \frac{1}{2}mv^2, \quad K_{\text{後}} = \frac{1}{2}(2m)\left(\frac{v}{2}\right)^2 = \frac{1}{4}mv^2 $$ $$ \Delta K = \frac{1}{2}mv^2 - \frac{1}{4}mv^2 = \frac{1}{4}mv^2 $$エネルギーの半分が熱・音・変形に変わる。
「運動量保存」と「エネルギー保存」は別物。運動量は衝突で常に保存されるが、運動エネルギーは弾性衝突以外では必ず減少する。この違いが衝突問題の核心。